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五浦に泊まる 温泉とあんこう「五浦観光ホテル別館 大観荘」 [温泉]

五浦には茨城県には数少ない温泉があり、しかも大観荘の温泉は源泉掛け流しです。露天風呂からは崖の上の松林と海が眺められ、横山大観の絵のような風景でした。ロビーには大観コーナーもあり、作品が展示されています。今回の旅はちょうど名物あんこうの季節の冬。あんこう尽くしのお食事を堪能しました。2024年の初贅沢。


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五浦を訪ねて [国内旅行]

岡倉天心がスキャンダルで東京を追われて向かったのが北茨城の五浦(いずら)、それに巻き込まれて横山大観や菱田春草らがこの地に暮らしています。なんで五浦?そもそもどこにあるの?なにがあるの?と疑問だらけ。いつか行きたいと思っていました。今回、ゆかりの場所を巡って自分なりにその答えを探します。

五浦の最寄り駅の大津港駅までは東京から普通列車で3時間(特急を使えば2時間)。天心が五浦に移ったのは1906年(明治39年)、常磐線は1897年(明治30年)に開設されているので、今より時間はかかったのかもしれませんが、東京にでるのもそれほど不便ではなかったのかもしれません。大津港駅の次の駅は福島県の勿来駅、有名な勿来(なこそ)の関があります。

私は勿来駅で降りて勿来の関公園から福島県と茨城県の県境を越え、五浦まで海沿いの道を5キロほど歩きました。漁港と集落、小さな神社、砂浜、太平洋…のどかなのんびりとした景色が続きます。遠くに高い崖がみえくると、そこだけ地形も植生も異なり、地図を確かめなくても五浦とわかりました。50メートルを超える断崖絶壁と鬱蒼とした松林…風光明媚といえないこともないのですが、人の出入りを拒むような威風を感じさせます。

天心が瞑想していたという六角堂は海の岩の上に建っており、すぐそこに大きな波が打ち寄せます。波の音を聞きながら、波頭が砕け、波がうちよせ、ひいていくのをみていると、どんどん無心になっていきます。天心はここでなにを考えていたのか…、海の向こうになにを見ていたのか…。

天心は五浦移住から7年後1913年(大正2年)に没しています。五浦に移ってからもボストンとの行き来が多く、五浦の滞在期間はそれほどではなかったようです。亡くなったのも新潟県赤倉温泉。それでも五浦といえば天心、天心ゆかりの場所や施設がそこかしこに今も継承されています。五浦は天心が神となりとどまり続けている場所のようです。

天心が死んだら植えてほしいと詩を残した水仙の花が五浦美術館に咲いていました。水仙は天心の故郷の越前水仙(福井県の県花)だそうです。


五浦遠景.jpg五浦近景.jpg
六角堂.jpg水仙.jpg


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天心が託した国宝の未来(茨城県天心記念五浦美術館)、陶の仏-近代常滑の陶彫(高島屋史料館TOKYO) [美術展]

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天心が託した国宝の未来 -新納忠之介、仏像修理への道
2023年12月9日(土)~2024年2月12日(月・祝)
茨城県天心記念五浦美術館

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陶の仏-近代常滑の陶彫
2023年9月16日(土)~2024年2月25日(日)
高島屋史料館TOKYO

仏像も大好きだし、明治になってからの近代日本美術の成立についてもよく知っているつもりだったけど、新納忠之介(にいろちゅうのすけ、1869~1954)のことも柴山清風(1901〜1969)のことも全く知りませんでした。もう20年ほど日本美術鑑賞を趣味としてきたけど、まだまだ未知との遭遇がある…、うれしくもあり、山の高さにうんざりもします。

新納忠之介は東京美術学校彫刻科を成績優秀で卒業。岡倉天心にみそめられたために、彫刻家ではなく文化財の修復に生涯をささげます。国宝や重要文化財の仏像修理を2000点以上手掛け、ボストン美術館の仏像修理にも赴いたとのこと。仏像の寸法帳や修理の記録ノートは見飽きません。私が拝してきた仏像の多くも新納の手によることが分かり、知られざる偉人に出会った展覧会でした。

一方の柴山清風は常滑陶器学校で陶器の彫刻を学んだ陶彫家。陶彫の仏像自体がマイナーですが、常滑という土地に生まれた清風にとって陶彫仏の制作は自然な流れだったのかもしれません。千体観音の無償配布を発願したり、各地で大型の陶彫仏を制作したそうです。熱海の伊豆山にも興亜観音像という巨大仏があるらしいですが、多くはすでに失われているとのこと。

新納の修復した仏像はこれから何百年も祈りの対象として引き継がれることが確約されているけれど、清風の仏像はいつまで「仏」でいられ続けるのか...。同じ彫刻家としてどちらがいいのでしょう。新納も自分のオリジナル作品を作りたかったのかな。そうだとしても、私は天心に導かれた(狂わされた)新納の仕事に惹かれます。


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繡と織 華麗なる日本染織の世界(根津美術館) [美術展]

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繡と織 華麗なる日本染織の世界
2023年12月16日(土)~2024年1月28日(日)
根津美術館

2024年、コロナ禍も過ぎて久しぶりの迎春と思っていたら、年明けから地震と飛行機事故…。私自身も久しぶりに風邪で発熱し、大掃除もせず、おせちも食べず、ひたすら寝て過ごした年末年始でした。浮かれ気分はなく、静かでほの暗い年始です。
それでも1月の美術館は華やかでおめでたい品々で満たされています。今年がよい年となるように祈りを込めて選ばれた作品たち。吉祥文様の装束にうっとりして、少しだけお正月気分を味わいました。


ご近所の美味
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前から気になっていた根津美術館の向かいにある「天ぷら みや川」。とてもリーズナブルに美味しい天ぷらをいただきました。


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特別展 木島櫻谷 ー山水夢中(泉屋博古館東京) [美術展]

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特別展 木島櫻谷 ー山水夢中
2023年6月3日(土)~7月23日(日)
泉屋博古館東京

泉屋博古館(せんおくはっこかん)の木島櫻谷(このしまおうこく)展は2014年と2018年にも開催されています(2014年の記事)。その時にみた屏風絵「寒月」は忘れられない1枚。竹林の狐に誘われて絵の中に引き込まれるようでした。そんなこともあって、櫻谷といえば動物画のイメージでしたが、今回は山水画や風景画が多く展示されています。動物画や人物画より断然よくて、櫻谷の絵の上手さが際立ちます。

特に耶馬渓を描いた大作「万壑烟霧」は圧巻でした。急峻な崖、もやもやとした空気感、一本一本の木々を墨の一色だけでパノラミックに描き分け、壮大な景色に圧倒されます。渾身の素晴らしい作品。「富⼠⼭図屏⾵」も高貴で険しい富士山の雄姿を写していて、横山大観なんて比べ物にならないほど上手。それでも“俺ってすごいでしょ”といった押しつけがましさを感じさせないのが京都人だなぁと思いました。

大観とは因縁のある櫻谷です。そのために画家としては不運だったといわれているけど、そんなこともないような気がします。京都人の櫻谷にとって東京で(田舎者に)認められることなんてどうでもいいことだったのではないでしょうか。京都のコミュニティーで好きな絵を描き続けることができればよかったのではないかと思います。そんな京都人の余裕と矜持を感じました。


富⼠⼭3.jpg


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蔡國強 宇宙遊 ー<原初火球>から始まる(国立新美術館) [美術展]

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蔡國強 宇宙遊 ー<原初火球>から始まる
2023年6月29日(木)~8月21日(月)
国立新美術館

蔡國強(さいこっきょう)は2015年の横浜美術館の展覧会が初見でした(そのときの記事)。作品だけでなくその言葉に強く惹かれたのを覚えています。今回の展覧会もご本人が書いた解説文(わりと長文)が強い支柱となっています。

大きな展示空間の壁際に1980年代の初期作品から順を追って今に至る火薬を使った一連の作品や映像が並んでいます。作品だけでは何を表現したいのかさっぱりわかりませんが、解説文を読むとその背景をうかがい知ることができます。その思考は宇宙まで射程に入った壮大さで簡単には近づけません。ただ、とても人間味のある難解さなのです。だから分からながらフレンドリーに楽しめます。

外見もアーティストというよりは地に足の着いた商売人みたい。魚屋や酒屋の前掛けや鉢巻が似合いそうです。とてつもなく魅力的な人なんだろうなと思います。福島県いわきの人たちとの長年にわたるつながりも心を打ちます。「満天の桜が咲く日」の花火には映像でも度肝を抜かれました。けた違いな規模と美しさ、桜だけでなく津波もイメージさせられます。それを見つめるいわきの人達の笑顔。「火薬」という人を傷つけるために使われる道具も蔡國強の手にかかれば無念の魂を鎮めることができるのです。





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豊乗寺の普賢菩薩像(東京国立博物館 国宝室) [仏像・仏画]

豊乗寺 普賢菩薩像
2023年6月6日(火)~7月2日(日)
東京国立博物館 国宝室

東博に寄託されている豊乗寺(ぶじょうじ)の普賢菩薩像(国宝 平安時代)が国宝室で久しぶりに展示されました。鳥取県智頭町(ちずちょう)の豊乗寺に行ったのは2022年GW。鳥取旅行中にふと豊乗寺が鳥取にあることを思い出して訪ねてみたのでした。豊乗寺は空海の実弟・真雅による開基と伝えられる密教寺院。国宝の普賢菩薩像のほかにも多くの文化財を伝えていますが、今では訪れる人も少ないようです。真言宗だからでしょうか、境内の真ん中に高野槙の巨木がそびえていました。そんな風景を思い出しながら鑑賞しました。

截金は手を尽くした繊細さだけれど、菩薩のお姿や白い象の体格はわりとどっしりとしています。お顔もしっかりと頬が張っていて男性的。普賢菩薩というと女性好みの痩せた優しいお姿と美しいお顔がイメージされますが、豊乗寺の普賢像は違っています。都と地方の違いなのか、それとも時代なのか、どちらにしても贅を尽くして作られた素晴らしい仏画でした。

それにしても東博もすっかりコロナ前に戻って外国人含めて人が多く、閉館時間になっても展示室は混みあっていました。日の長い夏の間は夜間開館を再開していただきたいです。そして空調が弱くて蒸し暑かった…もう少し適温にしていただきたいです。なんだかリクエストばかりになってしまいました。


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「豊乗寺 高野槙」


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ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画(太田記念美術館) [美術展]

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ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画
2023年6月3日(土)~7月26日(水)
太田記念美術館

こんなにおしゃれな浮世絵があるなんて初めて知りました。フランスパリに1896年に生まれたポールジャックレー。3歳の時に来日して10代で日本画を学び、40歳前から新版画を発表、太平洋戦争を経て64歳で亡くなるまで日本で暮らしたそうです。まだまだ知らないアーティストとの出会いがあるんですね。

描かれるモチーフはとても型破り。理想化した美人ではなく、旅行先の人物や隣人を男性や老人を含めてキャラクタリスティックに描いています。旅行先はサイパン、グアム、朝鮮、中国…、エキゾチックなくせのある面貌は目を惹きつけるし、パステルと原色の美しい色彩感覚もたまりません。ひどく旅情をかきたてられ、海外に行きたくなります。特に「北風、韓国」の背景に描かれた「北漢山」。この山の連なりをこの目でみたい、できれば登ってみたいとの衝動がふつふつとわいてきました。これまでソウルになんてこれっぽっちも興味がなかったし、「北漢山」の名前も知らなかったのに、不思議です。

後期が始まってから行ったのですが、これは前期も見ないといけない展覧会でした。ひどく後悔しています。そして、絵葉書がほしかったのに「これ!」と思うものがなかったのも心残りです。

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「北風、韓国」


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千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」(サントリー美術館) [美術展]

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千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」
2021年11月17日(水)~2022年1月10日(月・祝)
サントリー美術館

2022年の初美術館は去年に引き続きサントリー美術館。1月2日から開館しているのでお正月の恒例になっています。これでもかってほど聖徳太子ゆかりの品々づくし。そのキャラクターイメージは宗教者というよりは政治家(もしくはビジネスマン)。仏教も外交ツールであって人々の救済を目的にしたものだったのかどうか…。だからあまり惹かれないのかもしれません。

私の好きな聖徳太子像は漫画「日出処の天子」(山岸凉子)の厩戸王子。同性愛と自分の霊能力に苦悩するセンシティブな厩戸王子。冒涜といってもいいほどのキャラ設定なんだけど、心震えるストーリーです。その原画が最後のコーナーに展示されていて感激でした。聖なる伝説に彩られた聖徳太子絵伝と一緒に展示しちゃうなんて、サントリー美術館も攻めてますね!(もちろん、ほめ言葉)。



ご近所の美味
お正月といえばすき焼き。ミッドタウン内にある名古屋の精肉店「スギモト」のイートインでいただきました。
スギモト.jpg


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2022年 令和4年 ウィズコロナ2年 寅年 [その他]

気が付けば人生もあっという間に後半戦。そんな悠長にしていられないことに気が付きました。やりたいことをやる、行きたいところに行く。コロナだからって自粛してばかりもいられない。転がる1年にしたいと思います。

2022寅.jpg

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