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繡と織 華麗なる日本染織の世界(根津美術館) [美術展]

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繡と織 華麗なる日本染織の世界
2023年12月16日(土)~2024年1月28日(日)
根津美術館

2024年、コロナ禍も過ぎて久しぶりの迎春と思っていたら、年明けから地震と飛行機事故…。私自身も久しぶりに風邪で発熱し、大掃除もせず、おせちも食べず、ひたすら寝て過ごした年末年始でした。浮かれ気分はなく、静かでほの暗い年始です。
それでも1月の美術館は華やかでおめでたい品々で満たされています。今年がよい年となるように祈りを込めて選ばれた作品たち。吉祥文様の装束にうっとりして、少しだけお正月気分を味わいました。


ご近所の美味
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前から気になっていた根津美術館の向かいにある「天ぷら みや川」。とてもリーズナブルに美味しい天ぷらをいただきました。


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特別展 木島櫻谷 ー山水夢中(泉屋博古館東京) [美術展]

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特別展 木島櫻谷 ー山水夢中
2023年6月3日(土)~7月23日(日)
泉屋博古館東京

泉屋博古館(せんおくはっこかん)の木島櫻谷(このしまおうこく)展は2014年と2018年にも開催されています(2014年の記事)。その時にみた屏風絵「寒月」は忘れられない1枚。竹林の狐に誘われて絵の中に引き込まれるようでした。そんなこともあって、櫻谷といえば動物画のイメージでしたが、今回は山水画や風景画が多く展示されています。動物画や人物画より断然よくて、櫻谷の絵の上手さが際立ちます。

特に耶馬渓を描いた大作「万壑烟霧」は圧巻でした。急峻な崖、もやもやとした空気感、一本一本の木々を墨の一色だけでパノラミックに描き分け、壮大な景色に圧倒されます。渾身の素晴らしい作品。「富⼠⼭図屏⾵」も高貴で険しい富士山の雄姿を写していて、横山大観なんて比べ物にならないほど上手。それでも“俺ってすごいでしょ”といった押しつけがましさを感じさせないのが京都人だなぁと思いました。

大観とは因縁のある櫻谷です。そのために画家としては不運だったといわれているけど、そんなこともないような気がします。京都人の櫻谷にとって東京で(田舎者に)認められることなんてどうでもいいことだったのではないでしょうか。京都のコミュニティーで好きな絵を描き続けることができればよかったのではないかと思います。そんな京都人の余裕と矜持を感じました。


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蔡國強 宇宙遊 ー<原初火球>から始まる(国立新美術館) [美術展]

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蔡國強 宇宙遊 ー<原初火球>から始まる
2023年6月29日(木)~8月21日(月)
国立新美術館

蔡國強(さいこっきょう)は2015年の横浜美術館の展覧会が初見でした(そのときの記事)。作品だけでなくその言葉に強く惹かれたのを覚えています。今回の展覧会もご本人が書いた解説文(わりと長文)が強い支柱となっています。

大きな展示空間の壁際に1980年代の初期作品から順を追って今に至る火薬を使った一連の作品や映像が並んでいます。作品だけでは何を表現したいのかさっぱりわかりませんが、解説文を読むとその背景をうかがい知ることができます。その思考は宇宙まで射程に入った壮大さで簡単には近づけません。ただ、とても人間味のある難解さなのです。だから分からながらフレンドリーに楽しめます。

外見もアーティストというよりは地に足の着いた商売人みたい。魚屋や酒屋の前掛けや鉢巻が似合いそうです。とてつもなく魅力的な人なんだろうなと思います。福島県いわきの人たちとの長年にわたるつながりも心を打ちます。「満天の桜が咲く日」の花火には映像でも度肝を抜かれました。けた違いな規模と美しさ、桜だけでなく津波もイメージさせられます。それを見つめるいわきの人達の笑顔。「火薬」という人を傷つけるために使われる道具も蔡國強の手にかかれば無念の魂を鎮めることができるのです。





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豊乗寺の普賢菩薩像(東京国立博物館 国宝室) [仏像・仏画]

豊乗寺 普賢菩薩像
2023年6月6日(火)~7月2日(日)
東京国立博物館 国宝室

東博に寄託されている豊乗寺(ぶじょうじ)の普賢菩薩像(国宝 平安時代)が国宝室で久しぶりに展示されました。鳥取県智頭町(ちずちょう)の豊乗寺に行ったのは2022年GW。鳥取旅行中にふと豊乗寺が鳥取にあることを思い出して訪ねてみたのでした。豊乗寺は空海の実弟・真雅による開基と伝えられる密教寺院。国宝の普賢菩薩像のほかにも多くの文化財を伝えていますが、今では訪れる人も少ないようです。真言宗だからでしょうか、境内の真ん中に高野槙の巨木がそびえていました。そんな風景を思い出しながら鑑賞しました。

截金は手を尽くした繊細さだけれど、菩薩のお姿や白い象の体格はわりとどっしりとしています。お顔もしっかりと頬が張っていて男性的。普賢菩薩というと女性好みの痩せた優しいお姿と美しいお顔がイメージされますが、豊乗寺の普賢像は違っています。都と地方の違いなのか、それとも時代なのか、どちらにしても贅を尽くして作られた素晴らしい仏画でした。

それにしても東博もすっかりコロナ前に戻って外国人含めて人が多く、閉館時間になっても展示室は混みあっていました。日の長い夏の間は夜間開館を再開していただきたいです。そして空調が弱くて蒸し暑かった…もう少し適温にしていただきたいです。なんだかリクエストばかりになってしまいました。


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「豊乗寺 高野槙」


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ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画(太田記念美術館) [美術展]

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ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画
2023年6月3日(土)~7月26日(水)
太田記念美術館

こんなにおしゃれな浮世絵があるなんて初めて知りました。フランスパリに1896年に生まれたポールジャックレー。3歳の時に来日して10代で日本画を学び、40歳前から新版画を発表、太平洋戦争を経て64歳で亡くなるまで日本で暮らしたそうです。まだまだ知らないアーティストとの出会いがあるんですね。

描かれるモチーフはとても型破り。理想化した美人ではなく、旅行先の人物や隣人を男性や老人を含めてキャラクタリスティックに描いています。旅行先はサイパン、グアム、朝鮮、中国…、エキゾチックなくせのある面貌は目を惹きつけるし、パステルと原色の美しい色彩感覚もたまりません。ひどく旅情をかきたてられ、海外に行きたくなります。特に「北風、韓国」の背景に描かれた「北漢山」。この山の連なりをこの目でみたい、できれば登ってみたいとの衝動がふつふつとわいてきました。これまでソウルになんてこれっぽっちも興味がなかったし、「北漢山」の名前も知らなかったのに、不思議です。

後期が始まってから行ったのですが、これは前期も見ないといけない展覧会でした。ひどく後悔しています。そして、絵葉書がほしかったのに「これ!」と思うものがなかったのも心残りです。

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「北風、韓国」


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千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」(サントリー美術館) [美術展]

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千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」
2021年11月17日(水)~2022年1月10日(月・祝)
サントリー美術館

2022年の初美術館は去年に引き続きサントリー美術館。1月2日から開館しているのでお正月の恒例になっています。これでもかってほど聖徳太子ゆかりの品々づくし。そのキャラクターイメージは宗教者というよりは政治家(もしくはビジネスマン)。仏教も外交ツールであって人々の救済を目的にしたものだったのかどうか…。だからあまり惹かれないのかもしれません。

私の好きな聖徳太子像は漫画「日出処の天子」(山岸凉子)の厩戸王子。同性愛と自分の霊能力に苦悩するセンシティブな厩戸王子。冒涜といってもいいほどのキャラ設定なんだけど、心震えるストーリーです。その原画が最後のコーナーに展示されていて感激でした。聖なる伝説に彩られた聖徳太子絵伝と一緒に展示しちゃうなんて、サントリー美術館も攻めてますね!(もちろん、ほめ言葉)。



ご近所の美味
お正月といえばすき焼き。ミッドタウン内にある名古屋の精肉店「スギモト」のイートインでいただきました。
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2022年 令和4年 ウィズコロナ2年 寅年 [その他]

気が付けば人生もあっという間に後半戦。そんな悠長にしていられないことに気が付きました。やりたいことをやる、行きたいところに行く。コロナだからって自粛してばかりもいられない。転がる1年にしたいと思います。

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かくれ里のかんなみ仏の里美術館 [仏像・仏画]

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かんなみ仏の里美術館(静岡県田方郡函南町)

JR函南駅から住宅地の急坂を30分ほど歩いて林を抜けると、ふと視界が開けて水田の広がる小さな平地にでました。平地の真ん中には清流が水音を響かせて流れています。遠い昔から人の住む場所だったけれども、今となっては浮世離れした、時間がとまったような昔ながらの風景。かんなみ仏の里美術館がある桑原の里は白洲正子の「かくれ里」を彷彿させる場所でした。

「かくれ里」の例にもれず、桑原には古い社やお寺で昔から守り伝えられてきた仏さまがいらっしゃいます。今に伝えられているのは平安時代から室町時代までの24体の仏さま。長い歴史の中で由来が分からなくなったものもありながら平成になって「かんなみ仏の里美術館」に安住の地を得たそうです。

土地勘がないので不思議な感じがしますが、桑原の北の山の向こう側は箱根なのだそうで、昔から「小筥根」と呼ばれて平安時代には小筥根山新光寺が建立されました。新光寺のご本尊が「薬師如来坐像」(平安時代中期、県重文)。その他に北条時政が寄進した実慶作「阿弥陀三尊像」(鎌倉時代、重文)が伝えられています。いつの日か新光寺は廃寺となりましたが、桑原の仏さまたちは里人の手で守り伝えられ、明治時代に長源寺の裏手に「桑原薬師堂」が建てられ集められたとのことです。「かんなみ仏の里美術館」にいらっしゃったのはごく最近の2012年です。

その薬師堂は桑原の里の入口、山と平地のキワにあり、少し高い場所にあるので「かんなみ仏の里美術館」も眺められます。お堂に上がることができ、それほど大きくないこのお堂に仏さまがいらっしゃった当時に思いをめぐらせました。仏さまが「かんなみ仏の里美術館」に移られてまだ間もないですし、距離も徒歩数分ですから、ご威光もここまで届いると思います。24体の仏さまに囲まれているような安らかな気持になれる場所です。

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かんなみ仏の里美術館がある桑原の里

タグ:仏像
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渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-(佐野美術館) [美術展]

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佐野美術館創立55周年・三島市制80周年 記念
渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-

2021年7月17日(土)~8月29日(日)
佐野美術館

2021年春に東京藝術大学大学美術館で開催予定だった渡辺省亭展。楽しみにしていたのに緊急事態宣言のため中止となってしまいました。佐野美術館に巡回することを知って、青春18きっぷを使って静岡県の三島に向かいました。

知る人ぞ知るといわれる渡辺省亭。私が初めて省亭を知ったのは2017年の加島美術の企画展でした。小さなギャラリーでの展示で作品は購入できたように記憶しています。それからあれよあれよという間に有名になって、東京・静岡・愛知の美術館をピンで巡回するようになったのだから大出世。当時の作品価格は分かりませんが、万一あの時、購入していたら大儲けできていたのかも。でも当時は「ごく普通の花鳥画」という印象でちっともグッときませんでした。逆にもしすごく気に入った作品があったとしたら、かえって悔しかったかもしれません。

それでも惹かれるものがあったからこそ、遠路はるばる三島までやってきました。柔らかでゆったりとして、精緻なのに余裕が感じられて上品。なにより動物の表情が豊かで愛くるしく、見ているだけで癒されました。「月夜木菟(つきよみみずく)」の迫力満点のトラフズクはまるで熊みたいなお顔と図太い足で今にも獲物に襲い掛かりそう。でもどこかキュートでアニメの主人公みたいです。「雪中鵯図」の鵯(ひよどり)のずうずうしくて小憎らしい表情も目が離せません。リアルすぎずかわいすぎずのバランスが絶妙です。キャラクターがたっていて絵本の挿絵みたい。どんな物語なんだろうと想像が広がります。こんな見方で「花鳥画」を鑑賞したのは初めて。前回はちっともだったのに、今回はグッときっぱなしでした。

省亭はひとつひとつの作品にインパクトがあるわけではないので、こうやってまとめて作品をみるとその魅力に気が付きます。人の眼を一瞬でとめさせる(そしてすぐに飽きられる)絵ではなく、じわじわと惹きつけられてしまう絵です。そんな画風なのはきっと画壇を離れたからではないでしょうか。だからこそ、一時は忘れられてしまったけれども時代を越えて再発見されたのだと思います。それも省亭に気が付いて作品を探し出し展覧会まで開催してしまう目利きの人たちがいるからこそ。よいお仕事に感謝です。

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夏の青春旅行 ①三島日帰り旅行 [寺・神社]

三島行きの主目的は佐野美術館の渡辺省亭展。せっかくなので前から行きたかった「かんなみ仏の里美術館」や三嶋大社も予定に組み込みます。調べてみると、三島は古代には伊豆国の国府があり、聖武天皇が各地に建立した国分寺も三島に置かれたそうです。三嶋大社は伊豆国一宮ですし、昔から神聖な場所だったのですね。その理由は富士山の眺望が良いからと簡単に考えていたのですが、行ってみて驚いたのは三島の街中を激流となって流れる富士山の伏流水。街中のいたるところに幾筋もの小川が流れています。それもかなりのスピードで「ちはやぶる(千早振る)」という表現がぴったり。これほど水にあふれた場所とは知りませんでした。

一遍上人ファンの私は三嶋大社といえば、絵巻「一遍聖絵」を真っ先に思い浮かべてしまいます。立派な鳥居や本殿が描かれていますが、印象的なのは一の鳥居と二の鳥居の間にある大きな神池。やはり三島といえば「水」なのです。絵巻の池には白鳥らしき白い水鳥が二羽、優雅に浮かんでいるのが印象に残っています。もちろん白鳥はいませんでしたが、神池は今もそのまま聖水をたたえていて、この場所に一遍上人も立ち寄られたのだと思うと感慨深かったです。(関連記事

三嶋大社 神池.jpg



三嶋大社から西へ1kmほど行くと伊豆国分寺があります。今は日蓮宗のお寺になっていますが、奈良時代の塔跡の基壇・礎石8個が本堂の裏に残されていました。墓地の中にある礎石はぎょっとするほど大きく、なんだか場違いで窮屈そう。国分寺跡は何か所か訪れましたが、どこも広々とした(そして今は何もない)眺めのいい場所にありました。こんな街中に国分寺跡があるのは珍しい。それは三島が水の都で交通の便もよく、古代の聖地がそのまま人の住む宿場町になり、現代まで栄え続けてきたからでしょう。

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伊豆国分寺の近くには人気の鰻屋「桜家」さんがあります。当日に夕方の予約をとって、美味しい鰻をいただきました。ちょっとお高いけれど、今まで食べた鰻の中で一番です。仕入れた鰻を富士山からの地下水に流すんですって。そんなこと三島の鰻屋さんにしかできない。そりゃあ、美味しいはずです。お店の昔ながらの雰囲気とあいまって大満足でした。

桜家.jpg


お腹がいっぱいになったら、旅の締めくくりは温泉。バスで三島市の東端にある竹倉温泉みなくち荘に向かい、鉄分を含んだ赤茶色のお湯に浸かりました。三島の町を流れる無色透明な伏流水からは想像もつかないインパクトのあるお湯です。源泉は15度~18度の地下水で加熱して浴用としているそうです(単純鉄泉)。とてもレトロな温泉でした。帰りは終電、盛りだくさんの詰め込み三島旅行、疲れたけど大充実でした。

タグ:温泉 国分寺
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