かくれ里のかんなみ仏の里美術館 [仏像・仏画]

かんなみ仏の里美術館.jpg
かんなみ仏の里美術館(静岡県田方郡函南町)

JR函南駅から住宅地の急坂を30分ほど歩いて林を抜けると、ふと視界が開けて水田の広がる小さな平地にでました。平地の真ん中には清流が水音を響かせて流れています。遠い昔から人の住む場所だったけれども、今となっては浮世離れした、時間がとまったような昔ながらの風景。かんなみ仏の里美術館がある桑原の里は白洲正子の「かくれ里」を彷彿させる場所でした。

「かくれ里」の例にもれず、桑原には古い社やお寺で昔から守り伝えられてきた仏さまがいらっしゃいます。今に伝えられているのは平安時代から室町時代までの24体の仏さま。長い歴史の中で由来が分からなくなったものもありながら平成になって「かんなみ仏の里美術館」に安住の地を得たそうです。

土地勘がないので不思議な感じがしますが、桑原の北の山の向こう側は箱根なのだそうで、昔から「小筥根」と呼ばれて平安時代には小筥根山新光寺が建立されました。新光寺のご本尊が「薬師如来坐像」(平安時代中期、県重文)。その他に北条時政が寄進した実慶作「阿弥陀三尊像」(鎌倉時代、重文)が伝えられています。いつの日か新光寺は廃寺となりましたが、桑原の仏さまたちは里人の手で守り伝えられ、明治時代に長源寺の裏手に「桑原薬師堂」が建てられ集められたとのことです。「かんなみ仏の里美術館」にいらっしゃったのはごく最近の2012年です。

その薬師堂は桑原の里の入口、山と平地のキワにあり、少し高い場所にあるので「かんなみ仏の里美術館」も眺められます。お堂に上がることができ、それほど大きくないこのお堂に仏さまがいらっしゃった当時に思いをめぐらせました。仏さまが「かんなみ仏の里美術館」に移られてまだ間もないですし、距離も徒歩数分ですから、ご威光もここまで届いると思います。24体の仏さまに囲まれているような安らかな気持になれる場所です。

桑原の里.jpg
かんなみ仏の里美術館がある桑原の里

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