特別展 木島櫻谷 ー山水夢中(泉屋博古館東京) [美術展]

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特別展 木島櫻谷 ー山水夢中
2023年6月3日(土)~7月23日(日)
泉屋博古館東京

泉屋博古館(せんおくはっこかん)の木島櫻谷(このしまおうこく)展は2014年と2018年にも開催されています(2014年の記事)。その時にみた屏風絵「寒月」は忘れられない1枚。竹林の狐に誘われて絵の中に引き込まれるようでした。そんなこともあって、櫻谷といえば動物画のイメージでしたが、今回は山水画や風景画が多く展示されています。動物画や人物画より断然よくて、櫻谷の絵の上手さが際立ちます。

特に耶馬渓を描いた大作「万壑烟霧」は圧巻でした。急峻な崖、もやもやとした空気感、一本一本の木々を墨の一色だけでパノラミックに描き分け、壮大な景色に圧倒されます。渾身の素晴らしい作品。「富⼠⼭図屏⾵」も高貴で険しい富士山の雄姿を写していて、横山大観なんて比べ物にならないほど上手。それでも“俺ってすごいでしょ”といった押しつけがましさを感じさせないのが京都人だなぁと思いました。

大観とは因縁のある櫻谷です。そのために画家としては不運だったといわれているけど、そんなこともないような気がします。京都人の櫻谷にとって東京で(田舎者に)認められることなんてどうでもいいことだったのではないでしょうか。京都のコミュニティーで好きな絵を描き続けることができればよかったのではないかと思います。そんな京都人の余裕と矜持を感じました。


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