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五浦を訪ねて [国内旅行]

岡倉天心がスキャンダルで東京を追われて向かったのが北茨城の五浦(いずら)、それに巻き込まれて横山大観や菱田春草らがこの地に暮らしています。なんで五浦?そもそもどこにあるの?なにがあるの?と疑問だらけ。いつか行きたいと思っていました。今回、ゆかりの場所を巡って自分なりにその答えを探します。

五浦の最寄り駅の大津港駅までは東京から普通列車で3時間(特急を使えば2時間)。天心が五浦に移ったのは1906年(明治39年)、常磐線は1897年(明治30年)に開設されているので、今より時間はかかったのかもしれませんが、東京にでるのもそれほど不便ではなかったのかもしれません。大津港駅の次の駅は福島県の勿来駅、有名な勿来(なこそ)の関があります。

私は勿来駅で降りて勿来の関公園から福島県と茨城県の県境を越え、五浦まで海沿いの道を5キロほど歩きました。漁港と集落、小さな神社、砂浜、太平洋…のどかなのんびりとした景色が続きます。遠くに高い崖がみえくると、そこだけ地形も植生も異なり、地図を確かめなくても五浦とわかりました。50メートルを超える断崖絶壁と鬱蒼とした松林…風光明媚といえないこともないのですが、人の出入りを拒むような威風を感じさせます。

天心が瞑想していたという六角堂は海の岩の上に建っており、すぐそこに大きな波が打ち寄せます。波の音を聞きながら、波頭が砕け、波がうちよせ、ひいていくのをみていると、どんどん無心になっていきます。天心はここでなにを考えていたのか…、海の向こうになにを見ていたのか…。

天心は五浦移住から7年後1913年(大正2年)に没しています。五浦に移ってからもボストンとの行き来が多く、五浦の滞在期間はそれほどではなかったようです。亡くなったのも新潟県赤倉温泉。それでも五浦といえば天心、天心ゆかりの場所や施設がそこかしこに今も継承されています。五浦は天心が神となりとどまり続けている場所のようです。

天心が死んだら植えてほしいと詩を残した水仙の花が五浦美術館に咲いていました。水仙は天心の故郷の越前水仙(福井県の県花)だそうです。


五浦遠景.jpg五浦近景.jpg
六角堂.jpg水仙.jpg


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