顕われた神々ー中世の霊場と唱導ー(神奈川県立金沢文庫) [美術展]
顕われた神々ー中世の霊場と唱導ー
2018年11月16日(金)~2019年1月14日(月・祝)
神奈川県立金沢文庫
名古屋大学の阿部泰郎先生の唱導(しょうどう)資料についての講演を聴講しましたが、難しすぎて理解が追いつきませんでした。大変熱心にご講演いただいたのですが、そもそも唱導なんて言葉は聞いたことがない私にとっては豚に真珠。唯一、唱導とは法要や勧進などの儀礼の場で読み上げられた説教の台本で、その名人が澄憲(ちょうけん、1126?~1203)という延暦寺の僧侶だということだけ覚えました。調べたら、澄憲は藤原信西の子だそうで、超エリートですね。
その唱導と今回の展覧会にどんな関係があるのか、これも難しいのですが、おそらく唱導を唱えることによって出現した神々の姿を写した作品なのだと思います。いろいろな神々が召喚されています。伊勢、春日、石清水、白山、伊豆山…、こう書くと、神様って土地と結びついていますね。遠くからお呼び出ししないといけないから、唱導が必要だったのかしら。チラシのメインイメージの十一面観音立像(白洲正子旧蔵、小田原文化財団)も頭上の化物が彫り出されておらず、神像に近い仏像で白山神社の本地仏の可能性があるそうです。
野田版鼠小僧(シネマ歌舞伎) [古典芸能]
シネマ歌舞伎で「野田版鼠小僧」を鑑賞しました。勘三郎が舞台を駆け回って、汗を流し、息を切らしながら、全力疾走しています。こんな重労働を毎日続けていたんですね。ちょっとは手を抜いてもいいから、もっと長く舞台に立ち続けていて欲しかった…。笑い転げながら、涙が出てしまいました。
喜劇だけれど、イヤミスみたいに人間のずるくて醜い部分をこれでもかと見せつけられます。お金に執着し、自分の身を守ることしか考えていない三太(中村勘三郎)、権力に物言わせる大岡越前(坂東三津五郎)、それに忖度する與吉(中村芝翫)。15年前の初演だけれど、なんだか森友学園を思わせ、三太が籠池被告に重なって見えました。最後は弱い立場の人間が泣きを見ることになって、権力を持つ側は無傷。
もしかしたら、今は上演できない演目かもしれないなぁ、なんて笑えないことを考えてしまいました。でも、純粋に楽しかった!三太は救いようのないダメ人間だけれど、勘三郎だからこそ見る側も寄り添ってしまいます。古典歌舞伎もそもそもは江戸幕府を風刺していたのでしたね。今年は歌舞伎に通ってみようかな。
博物館に初もうで(2019年1月、東京国立博物館) [美術展]
2019年1月2日(水)~1月27日(日)
東京国立博物館
毎年恒例の「博物館に初もうで」。年初め恒例で足を運んでいます。
干支の動物にちなんだ特集展示。今年は「亥」。猪、どうしたって、かわいくないな。
金剛界曼荼羅旧図様(平安時代・12世紀)
仏画図集(江戸時代・17世紀)
おめでたモチーフの「松竹梅」。どれも雲がかかっていますね。
中啓 金地老松鶴亀模様(江戸時代・18世紀)
松:中啓とは能で使う扇だそう。松と鶴と亀、おめでたいづくし。
振袖 紫縮緬地若竹雲模様(江戸時代・19世紀)
竹:刺繍の竹と鹿の子模様の雲。
色絵月梅図茶壺(重文 仁清 江戸時代・17世紀)
梅:月夜に香る梅。
2019年、良い年になりますように。