仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-(東京国立博物館) [美術展]

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仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-
2018年1月16日(火)~3月11日(日)
東京国立博物館

雨の中、御室桜を見に行ったのは5年前。ベビーフェイスの阿弥陀如来坐像(国宝)にもお会いしました。そのとき、絶対秘仏の小さな薬師如来坐像(国宝)の存在を知りました。いつかお目見えできればと願っていましたが、こんなに早く機会に恵まれるなんて思ってもいませんでした。

仁和寺展にはこの小さな薬師像だけでなく、全国の御室派寺院から多くの秘仏が一堂に集まっていらっしゃいます。わざわざご開帳のときにお会いしに行った福井県小浜市の中山寺 馬頭観音菩薩坐像(そのときの記事)や大阪 葛井寺の千手観音菩薩坐像とも再会しました。それはそれで嬉しいのですが、なんだかワンマン社長の絶対命令に仕方なく集合してきたようにも感じられ、こちらとしては申し訳ないような気持ちになります。

それに畏れ多くも集合された秘仏のほとんどが平安時代のもの。当時の御室御所(仁和寺)の権勢が忍ばれます。皇室とゆかりの深い門跡寺院の末寺だからこそ、それぞれの地で現代まで大切に守られてきたのでしょうね。ねむたげなまぶたと二重あごのお顔立ちの秘仏に囲まれながら、御室派のすごみと伝統を感じました。


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今右衛門の色鍋島 人間国宝の技と美(そごう美術館) [美術展]

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今右衛門の色鍋島 人間国宝の技と美
2018年1月27日(土)~2月18日(日)
そごう美術館

江戸時代に鍋島藩が生み出した色絵磁器「鍋島焼」。カラフルでかわいくて、器類には興味がない私も例外的に大好きな器です。その伝統を受け継いでいるのが今泉今右衛門。この展覧会では第14代の作品を中心に歴代の色鍋島が紹介されていました。大好きと言いながら、これまでは江戸時代の鍋島しか見たことがなく、鍋島藩がなくなった明治以降、どのような行方をたどったのか、興味深く鑑賞しました。

当世の第14代は「墨はじき」や「プラチナ彩」といった技法を開発し、新しい鍋島焼を生み出しています。美しくて繊細で、とても日常では使えないようなプレミア感あふれる逸品。もう江戸時代の鍋島とは別物、第14代のオリジナルです。第13代は平均レベルはそれほど高くないのですが、たまにとび抜けてハッとさせられる作品がありました。第13代が図案化した「かるかや文」は現代的だけど鍋島っぽさが色濃くてお気に入りの仲間入りです。ほかの伝統工芸と同様に、鍋島焼の伝統も明治維新によっていったん途絶えてしまったそうですが、こうやって現代につながっているのですね。

でもやはり江戸時代の鍋島がいちばんです。これまで見たことがない文様もたくさんあり、鍋島焼の多様さにびっくりしました。おしゃれな「雪持菊笹文皿」「竹笹文皿」「組紐文皿」、おもしろい「大根文皿」「土筆文皿」「蜘蛛の巣文皿」「蕎麦花畑文皿」。なんでも模様になっちゃうのです。それもモダンでかわいい。鍋島の真骨頂のデザイン力を存分に堪能しました。


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