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野田版鼠小僧(シネマ歌舞伎) [古典芸能]


野田版 鼠小僧 [DVD]

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  • 松竹
  • メディア: DVD


シネマ歌舞伎で「野田版鼠小僧」を鑑賞しました。勘三郎が舞台を駆け回って、汗を流し、息を切らしながら、全力疾走しています。こんな重労働を毎日続けていたんですね。ちょっとは手を抜いてもいいから、もっと長く舞台に立ち続けていて欲しかった…。笑い転げながら、涙が出てしまいました。

喜劇だけれど、イヤミスみたいに人間のずるくて醜い部分をこれでもかと見せつけられます。お金に執着し、自分の身を守ることしか考えていない三太(中村勘三郎)、権力に物言わせる大岡越前(坂東三津五郎)、それに忖度する與吉(中村芝翫)。15年前の初演だけれど、なんだか森友学園を思わせ、三太が籠池被告に重なって見えました。最後は弱い立場の人間が泣きを見ることになって、権力を持つ側は無傷。

もしかしたら、今は上演できない演目かもしれないなぁ、なんて笑えないことを考えてしまいました。でも、純粋に楽しかった!三太は救いようのないダメ人間だけれど、勘三郎だからこそ見る側も寄り添ってしまいます。古典歌舞伎もそもそもは江戸幕府を風刺していたのでしたね。今年は歌舞伎に通ってみようかな。


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初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」(国立劇場) [古典芸能]

小栗判官.JPG
初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」
2018年1月3日(水)~1月27日(土)
国立劇場

小栗判官(おぐりはんがん)と照手姫(てるてひめ)の物語を知ったのは、岩佐又兵衛の「小栗判官絵巻」。ヒーロー(小栗判官)が大活躍し、そのピンチにはヒロイン(照手姫)がけなげに支える、まさにエンタメ絵巻なのですが、笑っちゃうぐらい荒唐無稽なエピソードがてんこ盛り。愉快、痛快な絵巻でした(そのときの記事)。中世以降に説経節や浄瑠璃に取り込まれ、大流行したというのもわかります。今回、国立劇場の初春公演で歌舞伎の「世界花小栗判官」がかかると知って、これは外せないと見に行きました。

そうしたら、オリジナルのストーリーがすごく不自然に改変されていてびっくり。歌舞伎にはいろいろな約束事があるそうで、絵巻にはない「家宝探し」やヒロイン照手姫とライバルお駒の「三角関係」を中心に話が進んでいくのです。オリジナルから取り入れられているのは「小栗判官の荒馬の曲馬乗りの場面」と「照手姫が動けなくなった小栗判官を乗せた車を引く場面」ぐらい。絵巻でのクライマックス場面を歌舞伎の定番ストーリーに組み込んだのが歌舞伎版の小栗判官なんですね。いいところ取りともいえるけれど、あの絵巻のハチャメチャ感はすっかり失われていました…。さらに、原作は荒唐無稽ながら小栗判官と照手姫の純愛が胸を打つのですが、歌舞伎は三角関係のせいで台無しです…。

又兵衛の絵巻のイメージが強すぎて、どうも見方が辛めになってしまいましたが、小栗判官とは別物だと思えば、役者さんたちはさすがに達者だったし(特に中村梅枝さん、片岡亀蔵さんがよかったです)、舞台演出も華やかだったし、最後はお正月らしく手ぬぐい投げがあったりして、なかなか楽しい歌舞伎鑑賞でした。


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能楽鑑賞「清経」(国立能楽堂) [古典芸能]

国立能楽堂 5月.jpg
5月普及公演 呼声・清経
国立能楽堂

今年の目標の古典芸能鑑賞。文楽、歌舞伎に引き続いて第3段の「能楽」です(文楽鑑賞の記事歌舞伎鑑賞の記事)。今回も「平家物語」に題をとった「清経」にしてみました。前日、白洲正子の「謡曲 平家物語」を読んで予習。「清経」は世阿弥の作と伝えられ、平家物語のほんの短い挿話を下敷きにこの能を作曲したそうです。平清経は重盛の三男、都落ちして早々、源氏と戦う前に将来を絶望して入水しました。死んだ清経と都に残された妻とやりとりの一曲です。

国立能楽堂の普及公演では公演に先立って、解説・能楽あんないがあり、大学の先生が見どころを解説してくれました。白洲正子の本の内容と重なるところも多く、準備は万端です。狂言「呼声」で大笑いして、いよいよ「清経」のお能が始まりました。あらすじも頭に入っているし、座席前の液晶画面には能の歌詞も表示されるし、集中して鑑賞していたつもりが…。いつの間にかぐっすりと寝入っていました。はぁ、もったいない。決して退屈だったわけではないのですが、夢幻能というだけあって、眠りに誘うリズムがあるようです。

なんだかどこに注目すればよいのかよくわからなかったというのが率直な感想です。ちゃんと観ていないので感想も何もないのですが、お能ってストーリーを追う「劇」というより、世界観を感じる「儀式」なのかもしれません。



謡曲平家物語 (講談社文芸文庫)

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  • 作者: 白洲 正子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/02/10
  • メディア: 文庫



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久しぶりの歌舞伎鑑賞「義経千本桜 渡海屋大物浦」(歌舞伎座) [古典芸能]

三月大歌舞伎.jpg
三月大歌舞伎 昼の部
義経千本桜 渡海屋・大物浦
平成29年3月3日(金)~27日(月)

先月の文楽鑑賞(そのときの記事)に続いて、歌舞伎鑑賞。歌舞伎を見るのは10年ぶりぐらい。古典芸能には縁遠いまま年月が過ぎました。もうそろそろ年も年だし、自分自身が古典を面白いと思える準備ができていればいいなぁと思って、今年の「やることリスト」に古典芸能鑑賞を入れました。文楽はあまり感情移入できなかったので、楽しめるかどうかおそるおそるの歌舞伎です。お得な幕見席で一幕だけ鑑賞しました。

演目は文楽でみた「平家女護島(へいけにょごのしま)」と同じく平家物語から題材をとった「義経千本桜 渡海屋大物浦(とかいやだいもつのうら)」にしました。新聞の評論がよかったのと、前田青邨の日本画「大物浦」(山種美術館)でなじみがあったから(そのときの記事)です。でも知盛役の片岡仁左衛門が片岡孝夫と同一人物とは、見た後に調べて知ったぐらい。先入観なくまっさらな状態でした。

結局どうだったかというと、とっても楽しめました。とにかく役者さんがみなさん芸達者で、歌と踊りの要素もあってミュージカルみたい。コミカルな場面もあるし、義理人情もある。そして最後の知盛の身投げの場面では泣きそうになりました…。というのも、この新しい歌舞伎座の舞台に立つことが叶わなかった中村勘三郎や市川團十郎のことが思い浮かばれて、平家の生き残りの「知盛」が歌舞伎役者の生き残りの「仁左衛門」と重なってしまったのです。なんだか片岡仁左衛門の先人への慰霊のような「大物浦」のように感じられました。


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初めての文楽鑑賞「平家女護島」(国立劇場) [古典芸能]

文楽 近松名作集.jpg
2017年2月4日(土)~2017年2月20日(月)
国立劇場 2月文楽公演
近松門左衛門=作
平家女護島
 六波羅の段
 鬼界が島の段
 舟路の道行より敷名の浦の段

2017年のやりたいことリストのひとつが古典芸能鑑賞。ちょうど国立劇場では開場50周年記念文楽公演「近松名作集」が上演されていました。近松といえば曽根崎心中しか思い浮かばない初心者ですが、江戸の世話物は共感できなさそうで気が進まず、平家物語の俊寛に題をとったという『平家女護島』(へいけにょごのしま)にしてみました。若い頃からなぜか平家物語は好きなのです。

平家物語のオリジナルでは、平家滅亡を企てて流罪となった3人のうち俊寛だけ恩赦が受けられず、島に取り残され、絶望の中、船を見送るという筋立て。ですが、文楽『平家女護島』では近松のアレンジがかなり入っていて、男女の恋愛も絡んだ人情ドラマでした。これじゃあ共感ポイントがまったく違ってきます。好きずきでしょうが、私はオリジナルの方が泣けるような気がするなぁ。

人形遣いとか太夫の良し悪しとかはまだ分からないし、どうしてもストーリーに目が向いてしまいます。1作だけで判断するのもなんですが、どうやら近松門左衛門の世界には同調できなさそう。次はお能の「俊寛」や歌舞伎の「平家女護島」を見比べてみたいです。


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