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豊乗寺の普賢菩薩像(東京国立博物館 国宝室) [仏像・仏画]

豊乗寺 普賢菩薩像
2023年6月6日(火)~7月2日(日)
東京国立博物館 国宝室

東博に寄託されている豊乗寺(ぶじょうじ)の普賢菩薩像(国宝 平安時代)が国宝室で久しぶりに展示されました。鳥取県智頭町(ちずちょう)の豊乗寺に行ったのは2022年GW。鳥取旅行中にふと豊乗寺が鳥取にあることを思い出して訪ねてみたのでした。豊乗寺は空海の実弟・真雅による開基と伝えられる密教寺院。国宝の普賢菩薩像のほかにも多くの文化財を伝えていますが、今では訪れる人も少ないようです。真言宗だからでしょうか、境内の真ん中に高野槙の巨木がそびえていました。そんな風景を思い出しながら鑑賞しました。

截金は手を尽くした繊細さだけれど、菩薩のお姿や白い象の体格はわりとどっしりとしています。お顔もしっかりと頬が張っていて男性的。普賢菩薩というと女性好みの痩せた優しいお姿と美しいお顔がイメージされますが、豊乗寺の普賢像は違っています。都と地方の違いなのか、それとも時代なのか、どちらにしても贅を尽くして作られた素晴らしい仏画でした。

それにしても東博もすっかりコロナ前に戻って外国人含めて人が多く、閉館時間になっても展示室は混みあっていました。日の長い夏の間は夜間開館を再開していただきたいです。そして空調が弱くて蒸し暑かった…もう少し適温にしていただきたいです。なんだかリクエストばかりになってしまいました。


コウヤマキ.jpg
「豊乗寺 高野槙」


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かくれ里のかんなみ仏の里美術館 [仏像・仏画]

かんなみ仏の里美術館.jpg
かんなみ仏の里美術館(静岡県田方郡函南町)

JR函南駅から住宅地の急坂を30分ほど歩いて林を抜けると、ふと視界が開けて水田の広がる小さな平地にでました。平地の真ん中には清流が水音を響かせて流れています。遠い昔から人の住む場所だったけれども、今となっては浮世離れした、時間がとまったような昔ながらの風景。かんなみ仏の里美術館がある桑原の里は白洲正子の「かくれ里」を彷彿させる場所でした。

「かくれ里」の例にもれず、桑原には古い社やお寺で昔から守り伝えられてきた仏さまがいらっしゃいます。今に伝えられているのは平安時代から室町時代までの24体の仏さま。長い歴史の中で由来が分からなくなったものもありながら平成になって「かんなみ仏の里美術館」に安住の地を得たそうです。

土地勘がないので不思議な感じがしますが、桑原の北の山の向こう側は箱根なのだそうで、昔から「小筥根」と呼ばれて平安時代には小筥根山新光寺が建立されました。新光寺のご本尊が「薬師如来坐像」(平安時代中期、県重文)。その他に北条時政が寄進した実慶作「阿弥陀三尊像」(鎌倉時代、重文)が伝えられています。いつの日か新光寺は廃寺となりましたが、桑原の仏さまたちは里人の手で守り伝えられ、明治時代に長源寺の裏手に「桑原薬師堂」が建てられ集められたとのことです。「かんなみ仏の里美術館」にいらっしゃったのはごく最近の2012年です。

その薬師堂は桑原の里の入口、山と平地のキワにあり、少し高い場所にあるので「かんなみ仏の里美術館」も眺められます。お堂に上がることができ、それほど大きくないこのお堂に仏さまがいらっしゃった当時に思いをめぐらせました。仏さまが「かんなみ仏の里美術館」に移られてまだ間もないですし、距離も徒歩数分ですから、ご威光もここまで届いると思います。24体の仏さまに囲まれているような安らかな気持になれる場所です。

桑原の里.jpg
かんなみ仏の里美術館がある桑原の里

タグ:仏像
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紀三井寺開創1250年 秘仏御本尊御開帳 よみがえり御開帳(和歌山県 紀三井寺) [仏像・仏画]

紀三井寺よみがえり御開帳.jpg
秘仏本尊・十一面観世音菩薩像 秘龕仏・千手観世音菩薩像 よみがえり御開帳
2021年4月8日(木)~5月29日(土)
紀三井寺

週末日帰り旅行で午前中に京都国立博物館の鑑真展に行くとして、午後もう1箇所をどこにするか、本来なら京博とセットで京都文化博物館の「承久の乱」展に行きたかったけれど、文博は早々に全期間の中止を決めていました。路線検索をするとかなりハードなスケジュールになりますが、和歌山の紀三井寺のご開帳に行けないこともない…。でも紀三井寺の秘仏は西国巡礼をしたときに拝する機会があったので、わざわざ行かなくてもいいか…。正直、当日まであまり気が進まなかったのですが、鑑真展を予想より早めに見終えたので重い腰をあげました。感染拡大で危機的状況の大阪を通過し(思ったより人出はありました)、京都から2時間かけて和歌山へ。
西国巡礼で紀三井寺に行ったのは2008年、花山法王の1000年御忌のご開帳でした。お堂のようすはなんとなく覚えていますが、仏さまのお姿はほとんど忘れていてまるで最初の出会いのようです。平安初期の仏像は男性的でたくましい。観音様の優しいイメージを覆す堂々とした体躯と近づき難いお顔。荒仏と伝えられるそうです。腰が重かったことを見透かされたような気がして、身が引き締まる思いがしました。
鑑真和上像や紀三井寺の秘仏と初めてお会いしたのは10年以上前。仏像は何百年も変わらずにそこにいらっしゃるけれど、忘れっぽい人間は短い人生の中で何度でも新鮮に出会えるのですね。そして年を取る楽しみってこんなところにあるのかもしれません。日帰り旅行で身体は疲れたけれど、行ってよかった。わざわざ出向いた甲斐がありました。

タグ:ご開帳 仏像
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岩井山延算寺 薬師如来立像 ご開帳(岐阜県岐阜市) [仏像・仏画]

岐阜の延算寺の薬師如来立像が5月5日にご開帳と知り、お伊勢参りの帰りに名古屋から岐阜へ。先月、人生で初めて岐阜駅に降り立ったばかりなのに(そのときの記事)、早くも再訪です。

延算寺へは岐阜駅からバスで30分ほど、長良川沿いの街中を抜けてひと山越えた平地の先のつきあたり、小さな山中にあります。本坊と東院の2つの伽藍を構えていますが、そのことを知らずに最初、東院に行ってご開帳のようすが全くない…。この日は大雨で参拝者もなく寺務所にも誰もいません。せっかくここまで来たのにがっかりしながら帰ろうかと思っていたら、薬師如来立像はお隣の山の本坊にいらっしゃいました。雨で暗かったのでぼんやりとしか見られませんでしたが、どっしりとした平安時代初期らしい体躯の仏さまです。お会いできた安堵もあって頼もしく感じられました。あっさり帰らなくてよかった…。またここまで来るのは大変です。

延算寺は空海、最澄、小野小町の言い伝えを持つ古刹です。「なんでこんな場所に」と思ったりしましたが、岐阜はその昔は美濃国、土地のブランド力は抜群だったのですね。先月にお会いした美江寺の十一面観音、そして今回の延算寺の薬師如来と岐阜に素晴らしい仏像が残されているのも当たり前のことなのでしょう。


岩井山延算寺.jpg
雨に煙る本坊がある小山。
いかにも信仰の対象になりそうな山の形です。

タグ:仏像 ご開帳
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美江寺 十一面観音立像 ご開帳(岐阜県岐阜市) [仏像・仏画]

4月18日は観音さまのご開帳の特異日です。今年はちょうど日曜日。浜松市美術館の展覧会「みほとけのキセキ」展にあわせて岐阜まで足を延ばし、美江寺の十一面観音立像のご開帳に行きました。岐阜駅からレンタサイクル(1日300円)で15分ほど、美江寺は岐阜の街中にあります。

こんな世情ですからご開帳も感染防止対策が徹底されていました。蜜を避けるため内陣にはひとりしか入れません。順番を待つための椅子も距離がとられ、おしゃべり禁止。おかげで仏さまと1対1でじっくり向き合うことができました。

美江寺の十一面観音さまはお前立でさえ平安時代の秀作で、初めはお前立がご本尊かと勘違いしてしまったほどです。その後ろに控えるのがご開帳の奈良時代の十一面観音立像(重要文化財)。近畿地方以外には珍しい脱活乾漆造だそうです。眠たげな眼と「への字」に曲がった口、決して美しくはないけれども幼げな魅力があります。これまであまり見たことのないお顔立ち。胸飾りや髪飾りは繊細で美しく、遠く都からいらっしゃったことが知られます。どんな願いが込められているのでしょう。

そして美江寺は1945年7月の岐阜空襲により伽藍を焼失しているのだそうです。ご本尊は当時の住職が戦火の中、背負って助け出されたとのこと。脱活乾漆像は軽いから持ち運びができたのだと思います。「みほとけのキセキ」展では浜松空襲で失われてしまった平安仏の写真展示がありました(そのときの記事)。同じ運命をたどっていたかもしれない美江寺の観音さまはまさに岐阜の「キセキ」です。


美江寺 十一面観音像.jpg
右:お前立の十一面観音立像(平安時代)ご本尊が後ろにちらり
左:ご本尊の十一面観音立像(奈良時代)


タグ:ご開帳 仏像
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三浦半島二大霊場大開帳 [仏像・仏画]

三浦半島二大霊場大開帳奉修.jpg











三浦薬師如来霊場 丁酉年 大開帳
三浦不動尊霊場 酉年 大開帳
平成29年4月28日~5月28日

33年に一度の薬師如来霊場と酉年の不動霊場のご開帳が重なり、132年に1度の大開帳となった三浦半島の札所巡りをしました。三浦半島にはその他にも三十三観音霊場(丑年と午年)や地蔵尊三十八霊場(卯年)があるそうです。鎌倉の知名度に比べると三浦半島ってぱっとしませんが、寺社も多くて歴史のある場所なんですね。心ひかれる仏像がたくさんいらっしゃいました。

当日は京浜急行の「三浦半島1dayきっぷ」をフル活用して、バスを乗り継ぎ、6カ寺(曹源寺、満昌寺、満願寺、大善寺、浄楽寺、神武寺)を巡りました。交通が不便な半島中央部も意外なほど住宅密集地で人が生活している気配が濃厚です。お寺は山の上にも谷戸にも海からほど近い平地にもあっていろいろな景色を見せてくれます。1日で周れてしまう小さな半島だけど、海も山もあり、東側からは房総半島が、西側からは富士山が眺められて、霊場が集まっているのもうなずけました。


曹洞寺(横須賀市 三浦薬師如来霊場 第三番札所)
東京国立博物館の常設展でいつもみている十二神将立像(重文)を所蔵しているお寺ということに、行ってから気が付きました。奈良時代後期、行基の創建と伝える古刹だそうです。

満昌寺(横須賀市 三浦薬師如来霊場 第四番札所)
裏山にある木造三浦義明坐像(重文)は見ることができませんでした。文化の日にご開帳とのことなので、いつか訪ねてみたいです。

満願寺(横須賀市 三浦不動尊霊場 第三番札所)
満願寺.jpg
趣のある小さなお寺です。よく整えられたお庭にかわいいネコさんが遊んでいました。宝物庫にいらっしゃる慶派の作風の観音菩薩立像と地蔵菩薩立像(ともに重文)に強く心ひかれました。運慶作ではないそうですが、運慶の「俺、上手いだろ」的な厭味がなくて、かえって好感が持てます。

満願寺 観音菩薩像.jpg
満願寺 観音菩薩像(重要文化財)

大善寺(横須賀市 三浦不動尊霊場 第二番札所)
衣笠城址へのものすごい急坂を息も切れ切れに上りました。お城の立地にはぴったりです。

浄楽寺(横須賀市 三浦薬師如来霊場 第十五番札所、三浦不動尊霊場 第二十番札所)
運慶の仏像5体(阿弥陀三尊、毘沙門天、不動明王、重文)がいらっしゃいます。圧倒的にリアルで魅力的で平身低頭するしかないです。特に脇侍の観音菩薩立像と勢至菩薩立像のフェロモンがすごかった。なんだか悪いことしていないのに謝らなくちゃいけないような気持ちになってしまいました。

浄楽寺 観音菩薩像.jpg
浄楽寺 運慶作 観音菩薩像(重要文化財)

浄楽寺の近くにある芦名ベーカリー芦兵衛のパンがとっても美味しかったです。

神武寺(逗子市 三浦薬師如来霊場 第一番札所)
神武寺駅からの山道を30分ほど登っていくと、山の中腹の小さな平地にお堂が並んでいます。ちょうどお堂を閉める法要の最中で、手のひらに香水をいただきました。


神武寺からは鷹取山へのハイキング道を行きました。昭和35年頃に彫られたという磨崖仏の弥勒菩薩尊像が夕日に照らされて、三浦半島の霊場巡りの1日が終わりました。

鷹取山 磨崖仏.jpg
鷹取山の磨崖仏


鷹取山.jpg
鷹取山からの眺め



タグ:開帳 秘仏
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国宝仏頭 東金堂特別安置(興福寺東金堂) [仏像・仏画]

仏頭 東金堂特別安置.jpg
国宝仏頭 東金堂特別安置
2017年1月7日(土)~12月
興福寺東金堂

国宝館が耐震工事で休館中のため、阿修羅像が仮講堂に場所を移されて特別公開中でした。ご本尊の阿弥陀如来像を囲んで八部衆像、十大弟子像、金剛力士像などと一緒にお堂の須弥壇の上にいらっしゃいます。ここでは阿修羅像も脇役。でもこれが本来の姿です。いつもよりちょっと遠いですが、お堂の出入口からは自然光と風が入ってきて気持ちいい。いつもと違う状況をうまく利用して、お寺にも参拝者にも嬉しい企画です。

仮講堂の阿修羅像に比べると注目度が低いですが、隣の東金堂でも銅造仏頭が特別安置されていました。日光月光菩薩とは600年ぶりの再会です。この仏頭が飛鳥山田寺から運ばれてきたことは知っていましたが、東金堂の日光・月光菩薩立像も山田寺のものだったんですね。

ここで新たな発見。今回、改めてよくよく眺めてみると、この日光・月光菩薩立像が薬師寺のものにとてもよく似ていらっしゃることに気が付きました。隣にいたご夫婦も「薬師寺の日光月光にそっくり」と話していらして、思わず「そうですね!」と声を掛けそうになりました。

薬師寺の日光・月光菩薩立像といえば、その制作年代を巡って「白鳳説」と「天平説」で議論が続いているのですが(関連記事)、一方でここ興福寺のものは白鳳期の造像。もちろんその完成度は薬師寺が勝りますが、白鳳期にこれだけの鋳造技術があるのなら、薬師寺の日光月光も白鳳仏でいいんじゃないかなぁ…と愚考しました。


阿修羅 天平乾漆群像展.jpg
興福寺国宝特別公開2017 阿修羅ー天平乾漆群像展ー
2017年3月15日(水)~6月18日(日) 9月15日(金)~11月19日(日)
興福寺仮講堂


タグ:仏像 国宝
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笠間のご開帳巡り(4月8日) [仏像・仏画]

4月8日は花まつり。お釈迦様の誕生日です。誕生仏に甘茶を注いでお祝いするのが一般的ですが、この日にご開帳される秘仏も多いようです。今年はちょうど土曜日なので、茨城県笠間市の三ヶ寺(岩谷寺、楞厳寺、弥勒教会)のご開帳を巡りました。当日は小雨がぱらつくあいにくのお天気。笠間駅前でレンタルした電動自転車とレインコートで修行さながらの巡礼です。なにしろ道しるべになるような道標や看板がほとんどなく、Google mapだけが頼り。道は事前に綿密に調べていったつもりでしたが、雨の中、迷って行ったり来たりしました。ペダルを漕ぎながら、とても心細かったです。まあ、だからこそたどり着いた時の喜びもひとしおなのかもしれません。

岩谷寺
まずは、笠間駅から一番近い岩谷寺へ。平地を自転車で10分ほどです。山門で真白の長毛猫さんがお腹を見せて出迎えてくれました。お庭の手入れが行き届いていて、本堂前には甘茶とお菓子が用意されています。おもてなしが行き届いているなぁと思ったら、女性の住職さんでした。収蔵庫には木造薬師如来立像(1253年、重文)と木造薬師如来坐像(平安時代末、重文)がいらっしゃいます。

笠間 岩谷寺.jpg
岩谷寺の白い猫さん


楞厳寺(りょうごんじ)
おそらく県道1号線を行くのが分かりやすいと思います。でも、車の多い県道は味気ないし、排気ガスで空気が悪いので、景色の良い脇道を選びました。里山の前に広がる春のからっぽの田んぼ道を行くと、突き当りに茅葺の立派な山門が見えてきました。山門から急坂を上ると楞厳寺。ここには優秀な番犬がいるようで、わんわんという大きな鳴き声が絶え間なく境内中に響き渡っていました。岩谷寺の猫さんの歓迎ぶりとは対照的です。収蔵庫には木造千手観音立像(1252年、重文)がいらっしゃいます。金網越しで近寄れないし、あまりよく観られません。

笠間 楞厳寺.jpg
楞厳寺の山門


弥勒教会
ビーフラインから入る道を勘違いして、行ったり来たり、かなり迷いました。でも分かりずらいだけあって、いかにも「かくれ里」といった趣きのある村里です。ご開帳の木造弥勒仏立像(1247年、重文)はお寺にあるのではなく、収蔵庫(弥勒堂)だけが道から少し奥まった場所にあり、地域の方々によって守られています。もともとは石城寺というお寺のご本尊だったそうですが、明治時代に廃寺となってしまったそう。堂々とした体躯の力強いお姿の弥勒立像は運慶作とも言い伝えられていただけあって、惹きつけられる魅力をお持ちです。しばし見とれてしまいました。

笠間 自転車.jpg
大活躍のレンタサイクル(弥勒教会にて)



三ヶ寺を巡って覚えた名前が笠間氏初代の笠間時朝(鎌倉幕府の有力御家人)。時朝が寄進した笠間六体仏のうち、現存するのがこの3体。だから薬師、千手、弥勒と像種は違っても大きさや作りが似ていました。銘文によって年号や由来がわかることもあって、造像への時朝の思いが感じられ、見仏にも身が入ります。笠間時朝は三十三間堂に千手観音2体を寄進していたり、山形県の慈恩寺に1263年の時朝銘のある木造大日如来坐像があったり、信仰に篤い方だったようです。

話は現代に戻って、笠間には親類が亡くなった年、供養のため4月8日に笠間周辺の六ヶ所を巡る「六堂めぐり」のならわしがあるそうです。一人だと3年間お参りしないといけないのですが、3人一緒に巡れば1回でいいらしく、3名で参詣されている方からそんなお話を伺いました。ご開帳も観光客というよりは、地元の方々のためのものなのですね。道中の道行に看板や標識がないのもしょうがないような気がしてきました。昔ながらの信仰がこのまま続いてほしいです。


参考にしたHP
「かさま文化財公開」


タグ:秘仏 開帳
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師走の奈良旅行 法華堂の憤怒像 [仏像・仏画]

開山堂をでた後、二月堂にお参りしてぶらぶらしていたら、二月堂の裏側に不動堂を発見。二月堂には何度も来ているけれど、初めて知りました。東大寺は奥が深いです。ちょうど護摩焚きの最中。毎月3回(10、18、28日)行われているみたいなので、いつか参加したいです。

不動堂から階段を下りると法華堂(三月堂)。こちらの仏さまたちは、皆さん揃ってとにかく大きい。3mを越える仏像が9躯もいらっしゃって、そのうち憤怒像が6躯。すごい迫力と圧迫感です。いつもは正面からしか拝顔できませんが、今日は背面の厨子にいらっしゃる秘仏 執金剛神像の御開帳のため、横顔や後ろ姿をじっくりと拝することができました。その大きさと形相ゆえ「精緻」という言葉は似合わないけれど、単眼鏡でみると大きさが相対化されて、精緻を極めた彫像だということがよくわかります。戒壇院のイケメン四天王に比べると見劣りするかと思っていましたが、法華堂の四天王像と金剛力士像も実は端正でかっこいいです。

本日最後の秘仏 執金剛神像は大きな口を開けて歯を見せて、かなり激怒されていました。ただ事ではない怒り具合。あまり頻繁にはお会いしたくないほどで、秘仏でいらっしゃるのもうなずけました。



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師走の奈良旅行 良弁僧正坐像 [仏像・仏画]

良弁僧正坐像.jpg

良弁僧正は東大寺の創建に尽力された初代別当。赤ちゃんのときに鷲にさらわれ、杉の木に引っかかっているところを義淵僧正に助けられたという伝説の持ち主です。その杉の木が東大寺二月堂の前に1本ぽつんと生えている良弁杉(代替わりしていますが)。二月堂の向かいにある開山堂に良弁僧正坐像(国宝)が安置されています。

先ほどお会いした鎌倉時代の重源上人からさかのぼって約400年、良弁僧正は奈良時代の人物。重源上人坐像はリアルの極みともいえる肖像彫刻ですが、良弁僧正坐像は平安時代中期のものなので実際のお姿を写したものではなく、ある意味、理想のお姿です。秘仏なので彩色もよく残っていて、古びた感じはせず、若々しい。整ったお顔で昔の俳優さんにいそうな感じです。若い時の高倉健とか渡哲也かな。胸板も厚くて引き締まった体躯。体育会系でかっこいいです。重源上人は腰の曲がったしわしわのお爺さんなので、ちょっと格差が大きいなぁ。


タグ:国宝
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