京(みやこ)の国宝ー守り伝える日本のたからー(京都国立博物館) [美術展]

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京(みやこ)の国宝ー守り伝える日本のたからー
2021年7月24日(土)~9月12日(日)
京都国立博物館

夏の旅行最終目は京博の「京(みやこ)の国宝」展へ。昨春、京都市京セラ美術館のリニューアルオープンに合わせて開催されるはずだった展覧会ですが、コロナの影響で中止となり、1年以上の時を経て京都国立博物館に場所を移して開かれました。

延期と会場変更によって展示品や構成がどのように変わったのかは分かりませんが、いずれにしても個人的には京セラ美術館での展覧会をみてみたかったなぁというのが正直な感想です。というのも、京都人が京のすごさをさりげなく(でも強烈に)見せつけ、私たち田舎者が有難くそれを拝まさせていただく、という楽しみ方をしたかったから。それを最大限効果的に感じられる場所はやはり「京都市」京セラ美術館をおいて他にはありません。所詮、京都国立博物館は「国立」だから京都の自慢するのはお門違いと思ってしまう…まあ自分勝手な言い分ですね。

でも、同じ「京(みやこ)の国宝」展とはいえ、主催が「京都市」から「京都国立博物館」に代わっているし、京都市京セラ美術館のときはなかった企業の協賛が複数入っています(京都由来の会社はなく「京セラ」も入っていません)。そもそも私は京博にはちょっとひねくれた感情を持っているので、なんだか気に入らないのです(そのときの記事①そのときの記事②そのときの記事③)。

そんな心持ちもあり、美術鑑賞歴も長くなってきて初見の国宝も少なかったこともあり、テンションは最後まで上がりませんでした。なんとなくそんな予感はしてたのですが、我ながらもったいないです。


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法隆寺の地蔵会 [寺・神社]

旅行のプランをこの日にしたのは法隆寺の地蔵会に行きたかったから。地蔵会(地蔵盆)は旧暦7月24日に行われていた地蔵菩薩の縁日。関西では一般的な行事で8月24日の京都の地蔵盆は有名です。法隆寺では新暦7月24日に東院伝法堂におられる地蔵菩薩を本尊として夕刻に法要があります。

18時少し前に東院伽藍に伺うといつもは閉まっている伝法堂が開かれ、法要の始まる準備が整えられていました。伝法堂には地蔵菩薩像の他にも多数の仏像が安置されています。それほど知られていないお堂なのに奈良時代の素晴らしい仏さまがなんだか無造作と思えるほどに勢ぞろいでびっくりしました。お堂の向かって右側がぽっかり空いているのは東京国立博物館の法隆寺展に阿弥陀三尊像が出開帳されているから。東博でソロデビューしている三尊像とお会いするのが楽しみです。

18時になると10名ほどの僧侶の方々が入堂して法要が始まりました。それほど大きくないお堂ですので堂内の仏さまたちとの距離も近く、空間の密度がぐっと高まります。まだ明るく酷暑が残る中、僧侶の方々が汗をかきながらお経を読み上げます。こうやってお寺の行事に参加するのは久しぶり。美術館や博物館は「みる」だけに集中してしまいますが、全身を使って体感するってやっぱりいいなぁ。清々しい気持ちになれます。

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聖徳太子没後1400年 入江泰吉×工藤利三郎「斑鳩」展(入江泰吉記念奈良市写真美術館) [美術展]

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聖徳太子没後1400年 入江泰吉×工藤利三郎「斑鳩」展
2021年7月10日(土)~8月22日(日)
入江泰吉記念奈良市写真美術館

奈良博の次に向かったのは東大寺ミュージアム。戒壇院の工事期間中、昨年7月から塑造四天王立像(国宝)が仮にお住まいになっています。私が仏像好きになったきっかけが四天王立像のうちの広目天立像。でも今みるとちょっとランクダウンかな。インパクトが強いだけに、何度か見ているうちに慣れてくるのかもしれません。心変わりを認識しました(本当に失礼な言い方で申し訳ありません)。この日は知足院本尊の地蔵菩薩立像も期間限定でいらっしゃいました。ミュージアムはいつの間にかリニューアルオープンしていて、無料ロッカーがなくなっていた…。復活してほしいです。

東大寺ミュージアムを後にして、バスと徒歩で入江泰吉記念奈良市写真美術館へ。工藤利三郎は明治後期から大正期にかけて活躍した仏像写真家の草分けだそうです。火事に焼ける前の法隆寺金堂壁画、無造作に外で撮影された玉虫厨子など貴重な写真が多く、テンションがあがります。一方、入江泰吉が写した田んぼに囲まれた法隆寺の風景は今となっては宅地開発でなくなってしまいました。一気にセンチメンタルな気分になってしまうのでした…。

この後に法隆寺に行く予定なのですが、私の理想の法隆寺周辺の風景は写真の中にしかないのです(そのときの記事)。戒壇院の広目天にしても法隆寺周辺の風景にしても、すべてのものは移り変わっていくんですよね。


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奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー(奈良国立博物館) [美術展]

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奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー
2021年7月17日(土)~9月12日(日)
奈良国立博物館

奈良博三昧は仏像館や名品展でおなじみの仏像や仏画たちが大集合で夏フェスみたいです。写真撮影OKなのですが、展示ガラスに天上照明が映り込んでそれを外すのが難しかった…。東京国立博物館やサントリー美術館での撮影では気にならないのでガラスケースや照明が違うのかな。でも手元に写真が残るのは嬉しい。お気に入りを紹介します。


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左:国宝 刺繡釈迦如来説法図(奈良時代または中国・唐(8世紀))
右:重文 絵因果経(奈良時代(8世紀))
ほぼ同じ時代なのに美大生と幼稚園生ぐらい絵のレベルが違う。
絵因果経のゆるさも好きです。


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左:重文 胎蔵図像(鎌倉時代 建久5年(1194))
右:重文 東大寺戒壇院厨子扉絵図(平安時代(12世紀))
どうしてだか、白描画、好きです。気負わずに楽しんで書いてる感じがよいのです。


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左上:五大明王像5躯のうち大威徳明王像(平安時代(10~11世紀))
右上、下:大威徳明王騎牛像(平安時代(12世紀))
どうしてだか、牛も大好き。かわいい。


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上:国宝 蓮唐草蒔絵経箱(平安時代(12世紀))
中:蓮華形磬(鎌倉時代(13世紀))
下:国宝 牛皮華鬘(平安時代(11世紀))
信仰心がこんなにも美しいものを生み出すんですよね…。資本主義では無理ですね。


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国宝 十一面観音像(平安時代(12世紀))
奈良博の至宝、文句なしの「No1」。法隆寺の鎮守・龍田新宮の本地仏だったそう。
だから男性的なのかな。かなりの美男子です。
写真のおかげで頭上面のキャラの描き分けもよくわかります。



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東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展ー大和古寺の国宝・重要文化財ー(奈良大学博物館) [美術展]

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東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展ー大和古寺の国宝・重要文化財ー
2021年6月26日(土)~8月31日(火)
奈良大学博物館

夏の旅行2日目は奈良へ。行きたいところがたくさんあって大忙しの1日です。朝一番で奈良大学博物館の拓本展へ。拓本なんてこれまでじっくり見たこともなかったけれど、今では採拓できない国宝・重文の拓本ばかりで見応えがありました。いつもは見づらい光背や台座などの細かい部分をじっくりと観察できるのですから楽しくないはずがありません。

鬼神像で有名な薬師寺薬師如来坐像の台座も現地ではどうしたって薬師像の方に目が奪われてしまいますが、展示では台座の鬼神(の拓本)がメインです。鬼神と言われますが愛嬌いっぱいでかわいい小動物みたい。おへそがハート形でキュートです。東大寺の大仏殿で盧舎那仏の台座蓮弁をじろじろするのは周りの観光客の目が気になりますが、今日ばかりは心ゆくまで眺めることができました。拓本だと線刻の線と形が実物よりもとらえやすく、蓮弁に描かれた二十二菩薩もくっきりと美しさが際立って見えます。拓本ということを忘れてうっとりと有難く拝まさせていただきました。拓本で初めて知った地獄谷石窟仏や南明寺釈迦如来坐像はいつか現地を訪れてみたいです。

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京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園(京都市京セラ美術館) [美術展]

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京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園
2021年7月17日(土)~9月12日(日)
京都市京セラ美術館

コロナの感染は治まらないけれどオリンピックは開催された2021年夏。例年通りに京都と奈良へ。新幹線は空いていましたが、京都の街中はそれなりに人出がありました。昨年の同時期にゴーストタウンと化した京都を見ているだけに、不安より安堵の方が大きかったです。後ろめたさはもちろんありますが、街にも元気になってほしいし、私の免疫力もUPするに違いありません(無理やりの言い訳)。

1日目は京都市京セラ美術館の「上村松園展」へ。昨夏、メンバーシップの会員になったので無料で展覧会が観覧できます。上村松園は「焰」の妖気にノックアウトされたことがありますが(そのときの記事)、作品をまとめて観るのは初めて。出品作の全てが女性の人物画、でも「焔」のような情念の女性は例外で生活のひとこまを切り取ったごく普通の女性画がほとんどです。風景画も静物画も厳密な意味での肖像画もありません。ここまで同じ画題を描き続けた凄みは「焔」の怖さと地続きだと思えました。明治の時代に女性が筆一本で勝負し、未婚の母として息子を育て上げ、美人画だけを描き続け、文化勲章を受章するまでに至る…、小説やテレビドラマになりそうです。女性の生涯を描くドラマと言えばNHKの朝ドラですが、松園は前向きで明るくて優しいといったヒロイン像とは正反対、朝ドラではなく夜ドラがあればはまり役(?)です。


ご近所の美味
松園展をみた後、ドラえもん展と常設展をちらりとのぞいて、お腹が空いたのでいつも大行列の山元麺蔵へ。今は予約優先なのだそうですが合間に飛び入りできました。今まで食べたどんなおうどんよりもっちもちで美味しかったです。
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