山中常盤(監督:羽田澄子、2004年) [映画]

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ドキュメンタリー作家 羽田澄子
2016年8月9日(火)~8月28日(日)
東京国立近代美術館フィルムセンター

岩佐又兵衛の「山中常盤物語絵巻」を映像化した羽田澄子監督の映画の上映が東京国立近代美術館フィルムセンターの小ホールでありました。羽田監督もいらしていて、90歳というお年とはとても思えないかくしゃくとしたご挨拶がありました。「山中常盤」の映像化にあたっては、辻惟雄先生に顔利きをしていただき、MOA美術館での撮影が許されたそうです。MOA美術館では宗教的な制限から過激な場面は展示されないため、全巻全場面の映像化は特に貴重とのことです。

映画は絵巻を単に映すだけでなく、ときどきに常盤御前役の女優さんがでてきて、京都から近江をゆく風景が映しだされたりと再現VTR風な部分があり、イメージしやすく演出されています。浄瑠璃も思った以上にちゃんと歌詞が聞き取れて、「物語」がすんなりと頭に入ってきました。いろんな効果があいまって、スクリーンに大写しになる又兵衛の絵にどんどん引き込まれていきます。絵巻の世界にどっぷりと浸かることができて、美術館でみるのとはまた違った体験でした。ぜひ、他の絵巻の映像も見てみたなぁ。東博のミュージアムシアターとかで企画してほしいです。


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バンクシー・ダズ・ニューヨーク [映画]


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久しぶりに映画を見に行きました。英国人の覆面芸術家バンクシーがNYで仕掛けたパフォーマンスを追ったドキュメンタリー映画です。といっても、映画の制作にバンクシー自身は関わっていません。そもそもこのバンクシーというアーティスト、本名も出身地も不明だそう。誰にも気が付かれず、世界中いたるところに出現し、世相を風刺する刺激的な落書きを描いているんですって。現代社会のおとぎ話みたいです。

で、この映画は2013年10月、バンクシーがNYの路上で毎日1点ずつゲリラ的に作品を発表していった1ヵ月を追った狂騒劇。とても面白かったけど、深く考えずにはいられませんでした。作品予告はインスタグラム、熱狂した人々は作品を追いかけ写真を撮ってツイート、マスコミでなくSNSを使ったPR方法がこの現代ならではです。一方で、作品を持ち去る人、儲けようと画策する人など、いつの世も変わらない人間の性も映しだされる。根が深いのは正当の美術評論家たち。この騒動をなかったもののように無視していたんですって。なんだかがっかり…。

でも、そんなことはバンクシーにとってはどうでもいいことなのかもしれません。ある日のパフォーマンスは、セントラルパークでバンクシーの作品を60ドル(現在の評価額は数万ドルだそう)で路上販売する、という動画作品。全然、売れない…。1日で8枚しか売れなかった…。そんなもんですよね。完全に手玉に取られてる感が満載。バカにされているのか、慰められているのか、ふざけているのか、真面目なのか、よく分からない。でも、ちょっと危なっかしくて、ナイーブなところに惹かれてしまいます。このおとぎ話がいつまでも続きますように。そして、今は無視されていても、100年後には名前を残していてほしいなぁ。


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ハーブ&ドロシー [映画]


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ごく普通のつましい生活を送っている夫婦が長年にわたって現代アートを買い集め、それが一大コレクションになり、国立美術館に寄贈することになるまでのドキュメンタリー。身の丈にあった好きなものをコレクションしていく、というやり方なら、だれもがコレクターになれるということに気が付きました。でも、例えば、同じ芸術家でも作家や音楽家の場合、好きな作品(本やCD)を購入することは簡単にできます。でも、美術作品はそうはいきません。大量生産で安価に手に入れられるようなアート作品があればなぁ。部屋に好きな絵やオブジェを飾りたい気持ちは誰もが持っているのにね。