渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-(佐野美術館) [美術展]

渡辺省亭展.jpg
佐野美術館創立55周年・三島市制80周年 記念
渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-

2021年7月17日(土)~8月29日(日)
佐野美術館

2021年春に東京藝術大学大学美術館で開催予定だった渡辺省亭展。楽しみにしていたのに緊急事態宣言のため中止となってしまいました。佐野美術館に巡回することを知って、青春18きっぷを使って静岡県の三島に向かいました。

知る人ぞ知るといわれる渡辺省亭。私が初めて省亭を知ったのは2017年の加島美術の企画展でした。小さなギャラリーでの展示で作品は購入できたように記憶しています。それからあれよあれよという間に有名になって、東京・静岡・愛知の美術館をピンで巡回するようになったのだから大出世。当時の作品価格は分かりませんが、万一あの時、購入していたら大儲けできていたのかも。でも当時は「ごく普通の花鳥画」という印象でちっともグッときませんでした。逆にもしすごく気に入った作品があったとしたら、かえって悔しかったかもしれません。

それでも惹かれるものがあったからこそ、遠路はるばる三島までやってきました。柔らかでゆったりとして、精緻なのに余裕が感じられて上品。なにより動物の表情が豊かで愛くるしく、見ているだけで癒されました。「月夜木菟(つきよみみずく)」の迫力満点のトラフズクはまるで熊みたいなお顔と図太い足で今にも獲物に襲い掛かりそう。でもどこかキュートでアニメの主人公みたいです。「雪中鵯図」の鵯(ひよどり)のずうずうしくて小憎らしい表情も目が離せません。リアルすぎずかわいすぎずのバランスが絶妙です。キャラクターがたっていて絵本の挿絵みたい。どんな物語なんだろうと想像が広がります。こんな見方で「花鳥画」を鑑賞したのは初めて。前回はちっともだったのに、今回はグッときっぱなしでした。

省亭はひとつひとつの作品にインパクトがあるわけではないので、こうやってまとめて作品をみるとその魅力に気が付きます。人の眼を一瞬でとめさせる(そしてすぐに飽きられる)絵ではなく、じわじわと惹きつけられてしまう絵です。そんな画風なのはきっと画壇を離れたからではないでしょうか。だからこそ、一時は忘れられてしまったけれども時代を越えて再発見されたのだと思います。それも省亭に気が付いて作品を探し出し展覧会まで開催してしまう目利きの人たちがいるからこそ。よいお仕事に感謝です。

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