たしなみについて(河出書房新社)白洲正子 [本]


たしなみについて

たしなみについて

  • 作者: 白洲 正子
  • 出版社: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/08/12
  • メディア: 新書

ごくごく短いエッセーが57編。初出は1948年、白洲氏40歳前、ごく初期の頃の随筆です。本格的な執筆活動はこの20年後。まだ、初々しさが感じられる文章ですが、格言めいた言葉の連なりや古典や美術に通じた話題が後年の著作を彷彿とさせます。


印象に残った言葉

文化的教養の為に、芸術を鑑賞することは止しましょう、人間を観察する事もやめにしましょう。画家が花の中から純粋な花をみつける様に、私たちも芸術や人間の中から、芸術の「芸術」、人間の「人間」をとり出して、「自己」を創造しなくてはならないと思います。─ 186ページ

有閑人種の反対に、日本の農民ほどひまのない人達はありません。彼等は勤勉で、実に感心な人々です。けれども、あまりに早朝から夜おそくまで働く為に、疲れ切って殆ど何も考える事は出来ません。考えないから発達もしません。どうしたらもっと仕事が楽になるか、どんな機械を使ったらもっと能率があがるか、そんな事も解りません。つまり、考えないからひまがない。ひまがないから考えないと云った次第になるのですが、・・・(略)。そういう人達が物を考える事はおろか、健全な娯楽など知る筈もありません。─ 41ページ


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