2022年 令和4年 ウィズコロナ2年 寅年 [その他]

気が付けば人生もあっという間に後半戦。そんな悠長にしていられないことに気が付きました。やりたいことをやる、行きたいところに行く。コロナだからって自粛してばかりもいられない。転がる1年にしたいと思います。

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かくれ里のかんなみ仏の里美術館 [仏像・仏画]

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かんなみ仏の里美術館(静岡県田方郡函南町)

JR函南駅から住宅地の急坂を30分ほど歩いて林を抜けると、ふと視界が開けて水田の広がる小さな平地にでました。平地の真ん中には清流が水音を響かせて流れています。遠い昔から人の住む場所だったけれども、今となっては浮世離れした、時間がとまったような昔ながらの風景。かんなみ仏の里美術館がある桑原の里は白洲正子の「かくれ里」を彷彿させる場所でした。

「かくれ里」の例にもれず、桑原には古い社やお寺で昔から守り伝えられてきた仏さまがいらっしゃいます。今に伝えられているのは平安時代から室町時代までの24体の仏さま。長い歴史の中で由来が分からなくなったものもありながら平成になって「かんなみ仏の里美術館」に安住の地を得たそうです。

土地勘がないので不思議な感じがしますが、桑原の北の山の向こう側は箱根なのだそうで、昔から「小筥根」と呼ばれて平安時代には小筥根山新光寺が建立されました。新光寺のご本尊が「薬師如来坐像」(平安時代中期、県重文)。その他に北条時政が寄進した実慶作「阿弥陀三尊像」(鎌倉時代、重文)が伝えられています。いつの日か新光寺は廃寺となりましたが、桑原の仏さまたちは里人の手で守り伝えられ、明治時代に長源寺の裏手に「桑原薬師堂」が建てられ集められたとのことです。「かんなみ仏の里美術館」にいらっしゃったのはごく最近の2012年です。

その薬師堂は桑原の里の入口、山と平地のキワにあり、少し高い場所にあるので「かんなみ仏の里美術館」も眺められます。お堂に上がることができ、それほど大きくないこのお堂に仏さまがいらっしゃった当時に思いをめぐらせました。仏さまが「かんなみ仏の里美術館」に移られてまだ間もないですし、距離も徒歩数分ですから、ご威光もここまで届いると思います。24体の仏さまに囲まれているような安らかな気持になれる場所です。

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かんなみ仏の里美術館がある桑原の里

タグ:仏像
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渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-(佐野美術館) [美術展]

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佐野美術館創立55周年・三島市制80周年 記念
渡辺省亭-欧米を魅了した花鳥画-

2021年7月17日(土)~8月29日(日)
佐野美術館

2021年春に東京藝術大学大学美術館で開催予定だった渡辺省亭展。楽しみにしていたのに緊急事態宣言のため中止となってしまいました。佐野美術館に巡回することを知って、青春18きっぷを使って静岡県の三島に向かいました。

知る人ぞ知るといわれる渡辺省亭。私が初めて省亭を知ったのは2017年の加島美術の企画展でした。小さなギャラリーでの展示で作品は購入できたように記憶しています。それからあれよあれよという間に有名になって、東京・静岡・愛知の美術館をピンで巡回するようになったのだから大出世。当時の作品価格は分かりませんが、万一あの時、購入していたら大儲けできていたのかも。でも当時は「ごく普通の花鳥画」という印象でちっともグッときませんでした。逆にもしすごく気に入った作品があったとしたら、かえって悔しかったかもしれません。

それでも惹かれるものがあったからこそ、遠路はるばる三島までやってきました。柔らかでゆったりとして、精緻なのに余裕が感じられて上品。なにより動物の表情が豊かで愛くるしく、見ているだけで癒されました。「月夜木菟(つきよみみずく)」の迫力満点のトラフズクはまるで熊みたいなお顔と図太い足で今にも獲物に襲い掛かりそう。でもどこかキュートでアニメの主人公みたいです。「雪中鵯図」の鵯(ひよどり)のずうずうしくて小憎らしい表情も目が離せません。リアルすぎずかわいすぎずのバランスが絶妙です。キャラクターがたっていて絵本の挿絵みたい。どんな物語なんだろうと想像が広がります。こんな見方で「花鳥画」を鑑賞したのは初めて。前回はちっともだったのに、今回はグッときっぱなしでした。

省亭はひとつひとつの作品にインパクトがあるわけではないので、こうやってまとめて作品をみるとその魅力に気が付きます。人の眼を一瞬でとめさせる(そしてすぐに飽きられる)絵ではなく、じわじわと惹きつけられてしまう絵です。そんな画風なのはきっと画壇を離れたからではないでしょうか。だからこそ、一時は忘れられてしまったけれども時代を越えて再発見されたのだと思います。それも省亭に気が付いて作品を探し出し展覧会まで開催してしまう目利きの人たちがいるからこそ。よいお仕事に感謝です。

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夏の青春旅行 ①三島日帰り旅行 [寺・神社]

三島行きの主目的は佐野美術館の渡辺省亭展。せっかくなので前から行きたかった「かんなみ仏の里美術館」や三嶋大社も予定に組み込みます。調べてみると、三島は古代には伊豆国の国府があり、聖武天皇が各地に建立した国分寺も三島に置かれたそうです。三嶋大社は伊豆国一宮ですし、昔から神聖な場所だったのですね。その理由は富士山の眺望が良いからと簡単に考えていたのですが、行ってみて驚いたのは三島の街中を激流となって流れる富士山の伏流水。街中のいたるところに幾筋もの小川が流れています。それもかなりのスピードで「ちはやぶる(千早振る)」という表現がぴったり。これほど水にあふれた場所とは知りませんでした。

一遍上人ファンの私は三嶋大社といえば、絵巻「一遍聖絵」を真っ先に思い浮かべてしまいます。立派な鳥居や本殿が描かれていますが、印象的なのは一の鳥居と二の鳥居の間にある大きな神池。やはり三島といえば「水」なのです。絵巻の池には白鳥らしき白い水鳥が二羽、優雅に浮かんでいるのが印象に残っています。もちろん白鳥はいませんでしたが、神池は今もそのまま聖水をたたえていて、この場所に一遍上人も立ち寄られたのだと思うと感慨深かったです。(関連記事

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三嶋大社から西へ1kmほど行くと伊豆国分寺があります。今は日蓮宗のお寺になっていますが、奈良時代の塔跡の基壇・礎石8個が本堂の裏に残されていました。墓地の中にある礎石はぎょっとするほど大きく、なんだか場違いで窮屈そう。国分寺跡は何か所か訪れましたが、どこも広々とした(そして今は何もない)眺めのいい場所にありました。こんな街中に国分寺跡があるのは珍しい。それは三島が水の都で交通の便もよく、古代の聖地がそのまま人の住む宿場町になり、現代まで栄え続けてきたからでしょう。

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伊豆国分寺の近くには人気の鰻屋「桜家」さんがあります。当日に夕方の予約をとって、美味しい鰻をいただきました。ちょっとお高いけれど、今まで食べた鰻の中で一番です。仕入れた鰻を富士山からの地下水に流すんですって。そんなこと三島の鰻屋さんにしかできない。そりゃあ、美味しいはずです。お店の昔ながらの雰囲気とあいまって大満足でした。

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お腹がいっぱいになったら、旅の締めくくりは温泉。バスで三島市の東端にある竹倉温泉みなくち荘に向かい、鉄分を含んだ赤茶色のお湯に浸かりました。三島の町を流れる無色透明な伏流水からは想像もつかないインパクトのあるお湯です。源泉は15度~18度の地下水で加熱して浴用としているそうです(単純鉄泉)。とてもレトロな温泉でした。帰りは終電、盛りだくさんの詰め込み三島旅行、疲れたけど大充実でした。

タグ:温泉 国分寺
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夏の青春旅行 [寺・神社]

この年になって青春もないだろうと思いながら、初めて「青春18きっぷ」を使ってみました。1日乗り放題を5回利用可能なので、三島への日帰り旅行、三重への1泊旅行、新潟への1泊旅行に行きました。体力と同じくらい時間の余裕も必要で、確かに18歳大学生だったらよかったのに…と思います。でもお尻を痛くしながら時間をかけてたどり着く先は有難味が違います。徒歩で旅していた昔の人に少しだけ近づけたような気もします。電車の中でぐっすり眠れるたちですし、じっとしているのは苦にならないので、なんとか無理がききました。そんな無茶な旅行ができるのも在宅勤務で体力に余裕があるから。さすがに毎日出勤していたら週末は休養に充てたいし、無理すれば翌週がつらくなっちゃいます。今は旅行が憚られる状況ですが、在宅勤務と週末旅行は相性がよいですね。さすがに青春18きっぷの旅はきついですが…

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京(みやこ)の国宝ー守り伝える日本のたからー(京都国立博物館) [美術展]

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京(みやこ)の国宝ー守り伝える日本のたからー
2021年7月24日(土)~9月12日(日)
京都国立博物館

夏の旅行最終目は京博の「京(みやこ)の国宝」展へ。昨春、京都市京セラ美術館のリニューアルオープンに合わせて開催されるはずだった展覧会ですが、コロナの影響で中止となり、1年以上の時を経て京都国立博物館に場所を移して開かれました。

延期と会場変更によって展示品や構成がどのように変わったのかは分かりませんが、いずれにしても個人的には京セラ美術館での展覧会をみてみたかったなぁというのが正直な感想です。というのも、京都人が京のすごさをさりげなく(でも強烈に)見せつけ、私たち田舎者が有難くそれを拝まさせていただく、という楽しみ方をしたかったから。それを最大限効果的に感じられる場所はやはり「京都市」京セラ美術館をおいて他にはありません。所詮、京都国立博物館は「国立」だから京都の自慢するのはお門違いと思ってしまう…まあ自分勝手な言い分ですね。

でも、同じ「京(みやこ)の国宝」展とはいえ、主催が「京都市」から「京都国立博物館」に代わっているし、京都市京セラ美術館のときはなかった企業の協賛が複数入っています(京都由来の会社はなく「京セラ」も入っていません)。そもそも私は京博にはちょっとひねくれた感情を持っているので、なんだか気に入らないのです(そのときの記事①そのときの記事②そのときの記事③)。

そんな心持ちもあり、美術鑑賞歴も長くなってきて初見の国宝も少なかったこともあり、テンションは最後まで上がりませんでした。なんとなくそんな予感はしてたのですが、我ながらもったいないです。


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法隆寺の地蔵会 [寺・神社]

旅行のプランをこの日にしたのは法隆寺の地蔵会に行きたかったから。地蔵会(地蔵盆)は旧暦7月24日に行われていた地蔵菩薩の縁日。関西では一般的な行事で8月24日の京都の地蔵盆は有名です。法隆寺では新暦7月24日に東院伝法堂におられる地蔵菩薩を本尊として夕刻に法要があります。

18時少し前に東院伽藍に伺うといつもは閉まっている伝法堂が開かれ、法要の始まる準備が整えられていました。伝法堂には地蔵菩薩像の他にも多数の仏像が安置されています。それほど知られていないお堂なのに奈良時代の素晴らしい仏さまがなんだか無造作と思えるほどに勢ぞろいでびっくりしました。お堂の向かって右側がぽっかり空いているのは東京国立博物館の法隆寺展に阿弥陀三尊像が出開帳されているから。東博でソロデビューしている三尊像とお会いするのが楽しみです。

18時になると10名ほどの僧侶の方々が入堂して法要が始まりました。それほど大きくないお堂ですので堂内の仏さまたちとの距離も近く、空間の密度がぐっと高まります。まだ明るく酷暑が残る中、僧侶の方々が汗をかきながらお経を読み上げます。こうやってお寺の行事に参加するのは久しぶり。美術館や博物館は「みる」だけに集中してしまいますが、全身を使って体感するってやっぱりいいなぁ。清々しい気持ちになれます。

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聖徳太子没後1400年 入江泰吉×工藤利三郎「斑鳩」展(入江泰吉記念奈良市写真美術館) [美術展]

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聖徳太子没後1400年 入江泰吉×工藤利三郎「斑鳩」展
2021年7月10日(土)~8月22日(日)
入江泰吉記念奈良市写真美術館

奈良博の次に向かったのは東大寺ミュージアム。戒壇院の工事期間中、昨年7月から塑造四天王立像(国宝)が仮にお住まいになっています。私が仏像好きになったきっかけが四天王立像のうちの広目天立像。でも今みるとちょっとランクダウンかな。インパクトが強いだけに、何度か見ているうちに慣れてくるのかもしれません。心変わりを認識しました(本当に失礼な言い方で申し訳ありません)。この日は知足院本尊の地蔵菩薩立像も期間限定でいらっしゃいました。ミュージアムはいつの間にかリニューアルオープンしていて、無料ロッカーがなくなっていた…。復活してほしいです。

東大寺ミュージアムを後にして、バスと徒歩で入江泰吉記念奈良市写真美術館へ。工藤利三郎は明治後期から大正期にかけて活躍した仏像写真家の草分けだそうです。火事に焼ける前の法隆寺金堂壁画、無造作に外で撮影された玉虫厨子など貴重な写真が多く、テンションがあがります。一方、入江泰吉が写した田んぼに囲まれた法隆寺の風景は今となっては宅地開発でなくなってしまいました。一気にセンチメンタルな気分になってしまうのでした…。

この後に法隆寺に行く予定なのですが、私の理想の法隆寺周辺の風景は写真の中にしかないのです(そのときの記事)。戒壇院の広目天にしても法隆寺周辺の風景にしても、すべてのものは移り変わっていくんですよね。


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奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー(奈良国立博物館) [美術展]

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奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー
2021年7月17日(土)~9月12日(日)
奈良国立博物館

奈良博三昧は仏像館や名品展でおなじみの仏像や仏画たちが大集合で夏フェスみたいです。写真撮影OKなのですが、展示ガラスに天上照明が映り込んでそれを外すのが難しかった…。東京国立博物館やサントリー美術館での撮影では気にならないのでガラスケースや照明が違うのかな。でも手元に写真が残るのは嬉しい。お気に入りを紹介します。


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左:国宝 刺繡釈迦如来説法図(奈良時代または中国・唐(8世紀))
右:重文 絵因果経(奈良時代(8世紀))
ほぼ同じ時代なのに美大生と幼稚園生ぐらい絵のレベルが違う。
絵因果経のゆるさも好きです。


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左:重文 胎蔵図像(鎌倉時代 建久5年(1194))
右:重文 東大寺戒壇院厨子扉絵図(平安時代(12世紀))
どうしてだか、白描画、好きです。気負わずに楽しんで書いてる感じがよいのです。


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左上:五大明王像5躯のうち大威徳明王像(平安時代(10~11世紀))
右上、下:大威徳明王騎牛像(平安時代(12世紀))
どうしてだか、牛も大好き。かわいい。


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上:国宝 蓮唐草蒔絵経箱(平安時代(12世紀))
中:蓮華形磬(鎌倉時代(13世紀))
下:国宝 牛皮華鬘(平安時代(11世紀))
信仰心がこんなにも美しいものを生み出すんですよね…。資本主義では無理ですね。


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国宝 十一面観音像(平安時代(12世紀))
奈良博の至宝、文句なしの「No1」。法隆寺の鎮守・龍田新宮の本地仏だったそう。
だから男性的なのかな。かなりの美男子です。
写真のおかげで頭上面のキャラの描き分けもよくわかります。



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東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展ー大和古寺の国宝・重要文化財ー(奈良大学博物館) [美術展]

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東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展ー大和古寺の国宝・重要文化財ー
2021年6月26日(土)~8月31日(火)
奈良大学博物館

夏の旅行2日目は奈良へ。行きたいところがたくさんあって大忙しの1日です。朝一番で奈良大学博物館の拓本展へ。拓本なんてこれまでじっくり見たこともなかったけれど、今では採拓できない国宝・重文の拓本ばかりで見応えがありました。いつもは見づらい光背や台座などの細かい部分をじっくりと観察できるのですから楽しくないはずがありません。

鬼神像で有名な薬師寺薬師如来坐像の台座も現地ではどうしたって薬師像の方に目が奪われてしまいますが、展示では台座の鬼神(の拓本)がメインです。鬼神と言われますが愛嬌いっぱいでかわいい小動物みたい。おへそがハート形でキュートです。東大寺の大仏殿で盧舎那仏の台座蓮弁をじろじろするのは周りの観光客の目が気になりますが、今日ばかりは心ゆくまで眺めることができました。拓本だと線刻の線と形が実物よりもとらえやすく、蓮弁に描かれた二十二菩薩もくっきりと美しさが際立って見えます。拓本ということを忘れてうっとりと有難く拝まさせていただきました。拓本で初めて知った地獄谷石窟仏や南明寺釈迦如来坐像はいつか現地を訪れてみたいです。

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