奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー(奈良国立博物館) [美術展]

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奈良博三昧ー至高の仏教美術コレクションー
2021年7月17日(土)~9月12日(日)
奈良国立博物館

奈良博三昧は仏像館や名品展でおなじみの仏像や仏画たちが大集合で夏フェスみたいです。写真撮影OKなのですが、展示ガラスに天上照明が映り込んでそれを外すのが難しかった…。東京国立博物館やサントリー美術館での撮影では気にならないのでガラスケースや照明が違うのかな。でも手元に写真が残るのは嬉しい。お気に入りを紹介します。


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左:国宝 刺繡釈迦如来説法図(奈良時代または中国・唐(8世紀))
右:重文 絵因果経(奈良時代(8世紀))
ほぼ同じ時代なのに美大生と幼稚園生ぐらい絵のレベルが違う。
絵因果経のゆるさも好きです。


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左:重文 胎蔵図像(鎌倉時代 建久5年(1194))
右:重文 東大寺戒壇院厨子扉絵図(平安時代(12世紀))
どうしてだか、白描画、好きです。気負わずに楽しんで書いてる感じがよいのです。


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左上:五大明王像5躯のうち大威徳明王像(平安時代(10~11世紀))
右上、下:大威徳明王騎牛像(平安時代(12世紀))
どうしてだか、牛も大好き。かわいい。


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上:国宝 蓮唐草蒔絵経箱(平安時代(12世紀))
中:蓮華形磬(鎌倉時代(13世紀))
下:国宝 牛皮華鬘(平安時代(11世紀))
信仰心がこんなにも美しいものを生み出すんですよね…。資本主義では無理ですね。


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国宝 十一面観音像(平安時代(12世紀))
奈良博の至宝、文句なしの「No1」。法隆寺の鎮守・龍田新宮の本地仏だったそう。
だから男性的なのかな。かなりの美男子です。
写真のおかげで頭上面のキャラの描き分けもよくわかります。



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東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展ー大和古寺の国宝・重要文化財ー(奈良大学博物館) [美術展]

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東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展ー大和古寺の国宝・重要文化財ー
2021年6月26日(土)~8月31日(火)
奈良大学博物館

夏の旅行2日目は奈良へ。行きたいところがたくさんあって大忙しの1日です。朝一番で奈良大学博物館の拓本展へ。拓本なんてこれまでじっくり見たこともなかったけれど、今では採拓できない国宝・重文の拓本ばかりで見応えがありました。いつもは見づらい光背や台座などの細かい部分をじっくりと観察できるのですから楽しくないはずがありません。

鬼神像で有名な薬師寺薬師如来坐像の台座も現地ではどうしたって薬師像の方に目が奪われてしまいますが、展示では台座の鬼神(の拓本)がメインです。鬼神と言われますが愛嬌いっぱいでかわいい小動物みたい。おへそがハート形でキュートです。東大寺の大仏殿で盧舎那仏の台座蓮弁をじろじろするのは周りの観光客の目が気になりますが、今日ばかりは心ゆくまで眺めることができました。拓本だと線刻の線と形が実物よりもとらえやすく、蓮弁に描かれた二十二菩薩もくっきりと美しさが際立って見えます。拓本ということを忘れてうっとりと有難く拝まさせていただきました。拓本で初めて知った地獄谷石窟仏や南明寺釈迦如来坐像はいつか現地を訪れてみたいです。

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京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園(京都市京セラ美術館) [美術展]

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京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園
2021年7月17日(土)~9月12日(日)
京都市京セラ美術館

コロナの感染は治まらないけれどオリンピックは開催された2021年夏。例年通りに京都と奈良へ。新幹線は空いていましたが、京都の街中はそれなりに人出がありました。昨年の同時期にゴーストタウンと化した京都を見ているだけに、不安より安堵の方が大きかったです。後ろめたさはもちろんありますが、街にも元気になってほしいし、私の免疫力もUPするに違いありません(無理やりの言い訳)。

1日目は京都市京セラ美術館の「上村松園展」へ。昨夏、メンバーシップの会員になったので無料で展覧会が観覧できます。上村松園は「焰」の妖気にノックアウトされたことがありますが(そのときの記事)、作品をまとめて観るのは初めて。出品作の全てが女性の人物画、でも「焔」のような情念の女性は例外で生活のひとこまを切り取ったごく普通の女性画がほとんどです。風景画も静物画も厳密な意味での肖像画もありません。ここまで同じ画題を描き続けた凄みは「焔」の怖さと地続きだと思えました。明治の時代に女性が筆一本で勝負し、未婚の母として息子を育て上げ、美人画だけを描き続け、文化勲章を受章するまでに至る…、小説やテレビドラマになりそうです。女性の生涯を描くドラマと言えばNHKの朝ドラですが、松園は前向きで明るくて優しいといったヒロイン像とは正反対、朝ドラではなく夜ドラがあればはまり役(?)です。


ご近所の美味
松園展をみた後、ドラえもん展と常設展をちらりとのぞいて、お腹が空いたのでいつも大行列の山元麺蔵へ。今は予約優先なのだそうですが合間に飛び入りできました。今まで食べたどんなおうどんよりもっちもちで美味しかったです。
山元麺蔵.jpg


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紀三井寺開創1250年 秘仏御本尊御開帳 よみがえり御開帳(和歌山県 紀三井寺) [仏像・仏画]

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秘仏本尊・十一面観世音菩薩像 秘龕仏・千手観世音菩薩像 よみがえり御開帳
2021年4月8日(木)~5月29日(土)
紀三井寺

週末日帰り旅行で午前中に京都国立博物館の鑑真展に行くとして、午後もう1箇所をどこにするか、本来なら京博とセットで京都文化博物館の「承久の乱」展に行きたかったけれど、文博は早々に全期間の中止を決めていました。路線検索をするとかなりハードなスケジュールになりますが、和歌山の紀三井寺のご開帳に行けないこともない…。でも紀三井寺の秘仏は西国巡礼をしたときに拝する機会があったので、わざわざ行かなくてもいいか…。正直、当日まであまり気が進まなかったのですが、鑑真展を予想より早めに見終えたので重い腰をあげました。感染拡大で危機的状況の大阪を通過し(思ったより人出はありました)、京都から2時間かけて和歌山へ。
西国巡礼で紀三井寺に行ったのは2008年、花山法王の1000年御忌のご開帳でした。お堂のようすはなんとなく覚えていますが、仏さまのお姿はほとんど忘れていてまるで最初の出会いのようです。平安初期の仏像は男性的でたくましい。観音様の優しいイメージを覆す堂々とした体躯と近づき難いお顔。荒仏と伝えられるそうです。腰が重かったことを見透かされたような気がして、身が引き締まる思いがしました。
鑑真和上像や紀三井寺の秘仏と初めてお会いしたのは10年以上前。仏像は何百年も変わらずにそこにいらっしゃるけれど、忘れっぽい人間は短い人生の中で何度でも新鮮に出会えるのですね。そして年を取る楽しみってこんなところにあるのかもしれません。日帰り旅行で身体は疲れたけれど、行ってよかった。わざわざ出向いた甲斐がありました。

タグ:ご開帳 仏像
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凝然国師没後700年 特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」(京都国立博物館) [美術展]

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凝然国師没後700年 特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」
2021年3月27日(火)~5月16日(日)
京都国立博物館

GWに緊急事態宣言のため閉館していた京都国立博物館。5月12日から制限が緩和され、再開することになりました。「鑑真和上と戒律のあゆみ」展の会期5月16日まではたったの5日間。急遽、週末日帰り旅行を計画しました。
鑑真和上に目が行ってしまう展覧会ですが、タイトルの頭書きは「凝然国師没後700年」。一体、凝然国師って誰でしょう(鎌倉後期の東大寺戒壇院や唐招提寺の長老を歴任した大学者なんだそう)。鑑真和上の知名度を借りた抱き合わせ商法みたいです。でも展覧会は凝然押しって感じでもなく、戒律に連なる祖師たちがまんべんなく紹介されていました。
やはり圧巻は「鑑真和上坐像」。本当に生身の和上がそこにいらっしゃるよう。2005年に東博でお会いして以来16年、私は年を取ったけれども、鑑真和上はずっと変わらずに生き続けていらっしゃって同じ時間を経てきたのだと感じました。
一方で凝然は肖像画がほとんどなく「せんとくん」の制作者の籔内佐斗司氏が制作した凝然国師像(唐招提寺)が出品されていました。なんだかせんとくん(籔内氏ご自身)に似ている…。本当にこんなビジュアルだったのかしら…。結構、チャレンジングというか(不敬ともいえる)取り組みです。
お顔はともかく、凝然は多くの著作を残しているので自筆の文書が複数展示されていました。これがすごいクセ字、一目で凝然筆とわかります。クセはあるけれどまるっこくてかわいい文字。なんとなく優しそうな性格だと思います。文字から昔の人の性格を妄想するのは楽しく、空海、最澄、蘭渓道隆などこれまでも想像を膨らませてきました(そのときの記事①そのときの記事②)。例えば、頂相(肖像画、肖像彫刻)と自筆文字を並べて正しい組み合わせを選ぶクイズ形式の展覧会なんて面白そう。そしてやっぱり凝然の文字から想像されるお顔って薮内氏の凝然像ではないんですよね…。

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伊勢と岐阜の美味 [美味]

歴史のある町は食べ物も歴史があります。

伊勢食事
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朝食:「あそらの茶屋」朝粥(鮑)
夕食:「山口屋」伊勢うどん
おやつ:「赤福」
その他、食べ歩きで「若松屋」ひりょうず、「伊勢醤油本店」醤油ソフト、「豚捨」コロッケ、メンチカツ、串カツ、「へんば餅」をいただきました。美味しかった具だくさんのひりょうず、日本橋の三重県アンテナショップにあるようなので憶えておきます。

岐阜食事
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「丸デブ総本店」中華そば(500円)
高島屋の向かいにある大正時代創業の老舗中華そば屋さん。延算寺の帰り夕方に寄ると、行列はなかったけれど最後の1食でした。スープは油なしの醤油和風出汁、麺はもさもさとしたお蕎麦風、ラーメンとは別物です。お値段もそうですが、ラーメンが進化する前の原型なのかな。口に合うかどうかは人によると思いますが、いつまでも続いてほしいお店です。

土産
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伊勢土産:「伊勢醤油」醤油、「伊勢せきや」子持ちしぐれ、帆立山椒煮
岐阜土産:「明宝ハム」パセリソーセージ、「ベンテンドー」栗粉餅、「養老軒」ふるーつ大福、生どらやき
名古屋土産:「カフェタナカ」クッキー、「吉芋」大学芋

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岩井山延算寺 薬師如来立像 ご開帳(岐阜県岐阜市) [仏像・仏画]

岐阜の延算寺の薬師如来立像が5月5日にご開帳と知り、お伊勢参りの帰りに名古屋から岐阜へ。先月、人生で初めて岐阜駅に降り立ったばかりなのに(そのときの記事)、早くも再訪です。

延算寺へは岐阜駅からバスで30分ほど、長良川沿いの街中を抜けてひと山越えた平地の先のつきあたり、小さな山中にあります。本坊と東院の2つの伽藍を構えていますが、そのことを知らずに最初、東院に行ってご開帳のようすが全くない…。この日は大雨で参拝者もなく寺務所にも誰もいません。せっかくここまで来たのにがっかりしながら帰ろうかと思っていたら、薬師如来立像はお隣の山の本坊にいらっしゃいました。雨で暗かったのでぼんやりとしか見られませんでしたが、どっしりとした平安時代初期らしい体躯の仏さまです。お会いできた安堵もあって頼もしく感じられました。あっさり帰らなくてよかった…。またここまで来るのは大変です。

延算寺は空海、最澄、小野小町の言い伝えを持つ古刹です。「なんでこんな場所に」と思ったりしましたが、岐阜はその昔は美濃国、土地のブランド力は抜群だったのですね。先月にお会いした美江寺の十一面観音、そして今回の延算寺の薬師如来と岐阜に素晴らしい仏像が残されているのも当たり前のことなのでしょう。


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雨に煙る本坊がある小山。
いかにも信仰の対象になりそうな山の形です。

タグ:仏像 ご開帳
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聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」(奈良国立博物館) [美術展]

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聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」
2021年4月27日(火)~6月20日(日)
奈良国立博物館

ちらしの表紙にもなっている「聖徳太子坐像」は法隆寺では聖霊院に祀られている秘仏です。私は法隆寺の夏季講座で拝見したことがあるので2度目の再会でした(そのときの記事)。聖徳太子の彫像には3歳の南無太子像、16歳の孝養太子像、壮年期の摂政太子像がありますが、この坐像は衣冠束帯(いかんそくたい)の摂政太子像、ちょうど働き盛りの40代頃のお姿と言われています。いかにも賢そうで仕事ができるオーラがすごい…。そのままスーツを着たら有能な外資系のコンサルタントです。少し口をあけているのは経を講じているらしいのですが、なんだかプレゼンしているみたい。「グローバル化を進めるためには組織の制度設計が急務で…」なんて声が聞こえてくるようです。

それに対して、同じ聖霊殿に祀られている侍者4人はなんともユーモラスというか「まぬけ」なお顔とお姿。この4人は山背大兄王(太子の子)、殖栗王と卒末呂王(太子の異母弟)、恵慈法師(太子の仏教の師)。聖徳太子と近しい存在なのですから、ちょっと(いやかなり)小馬鹿にしたような造形にすごく違和感を持ちました。一体、この落差はなんなのでしょうか。不思議です。展覧会は夏に東京国立博物館に巡回するので、この謎については頭の隅に置いておくことにします。解ける気はしませんが。

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初めてのお伊勢参り [寺・神社]

人が溢れていても伊勢神宮は清らかな空気に満ちていました。これまでも色々な神社にお参りしてきましたが、「神宮」はその規模も神聖さも別格です。1日半で内宮(皇大神宮)、外宮(豊受大神宮)、内宮の別宮(荒祭宮、風日祈宮)、外宮の別宮(多賀宮、⼟宮、風宮)、域外の別宮(月読宮、月夜見宮)、二見興玉神社、龍宮社、猿田彦神社と12社(!)を巡りました。中でも印象深かったのは月読宮と月夜見宮。鬱蒼とした森に囲まれた社は観光客も少なくひっそりとしています。内宮・外宮が「太陽」や「日」をイメージさせるのに対して、「月」「暗」がぴったりの雰囲気。夜、月を見ながらお参りしたいなぁ…きっと神様に会えるような気がします。多賀宮はめずらしく坂を少し登った高台にあり、鳥居がありません。なにか秘密がありそうです。

そして、他の神社ではあり得ないのが社殿の隣にぽっかりと空いている更地。古殿地(こでんち)というのだそうです。言わずと知れた前回の遷宮まで御殿が立っていた場所、そして次の遷宮で御殿が立つ場所。知識では知っていましたが、実際に見ると伊勢神宮の神秘を感じます。それに内宮・外宮だけでなく別宮にもすべて古殿地があるなんて…驚きです。式年遷宮がどれほど大掛かりなものか窺い知ることができました。

今回は行けなかった別宮(瀧原宮、伊雑宮、倭姫宮)、御塩殿神社、太江寺、朝熊岳金剛證寺にもいつか行ってみたい。なにより今の古殿地に立つ新しい社殿を見てみたい!次の遷宮は令和15年(2033年)、12年後です。参拝できたらいいなぁ。

外宮古殿地.jpg
外宮 古殿地


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2021年ゴールデンウィーク [寺・神社]

ゴールデンウィークは関西の展覧会巡りをすることがルーティンになっていますが、今年は緊急事態宣言で行きたかった展覧会が休止になってしまいました(京都国立博物館「鑑真展」、京都文化博物館「承久の乱展」)。がっかりしながらもこれまで展覧会を優先してなかなか行くことができなかったお伊勢参りに予定変更。奈良博の「法隆寺展」を見てから伊勢入りしました。私と同じように緊急事態宣言から逃れてきた観光客が多かったようで、伊勢神宮はびっくりするほど賑わっていました。おかげ横丁なんて清水寺の参道みたいな人混みです。新緑の気持ちよい季節に出かけたいのは自然な行動ですよね。どうか神様が許してくれますように…。

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二見興玉神社 お伊勢参りは二見から

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